2017/06/06
解雇トラブルの際に労働者に金銭を渡して解決する「不当解雇の金銭解決制度」導入について、厚生労働省は今年夏にも法改正に向けた本格的な検討を開始する。有識者検討会は29日にまとめた報告書で、厚生労働相の諮問機関・労働政策審議会で議論するよう提言した。労働界は制度導入は「解雇を助長する」と反発を強めており、議論の先行きは見通せない。
労働契約法で企業による解雇権の乱用は無効とされているが、解雇を巡る紛争は後を絶たない。現行では労働審判や訴訟などで解雇が無効と認められれば、職場復帰することができる。しかし、会社との関係が悪化し、職場復帰が困難なケースもある。
今回の報告書は、制度について検討会で賛成反対それぞれの意見があったことを示した上で、「労働者の多様な救済の選択肢の確保等の観点からは一定程度(必要性が)認められる」とした。解決金の水準は「上限、下限等を設定することが適当」と記した。制度運用は解雇された労働者側の申し立てを原則とし、企業側の申し立ては「現状では容易でない課題があり、今後の検討課題」とした。
(北海道新聞 5月30日)
不当解雇の金銭解決制度が解雇を助長するかどうかは、解決金の金額次第だろう。下限額が低額なら乱用されかねないが、高額なら割に合わないと判断し、解雇を踏みとどまる企業が多いのではないか。解雇の正当性を主張する理論武装も進むだろう。
それ以前に、この制度を利用することがイメージダウンになると考えるのがまっとうな企業だが、そうでない企業も多い。
労働者にとっては、労働審判で解雇の不当性が認定されても、復職は難しい。復職したところで危険人物にみなされ、解雇を判断した上司も立場が危うくなる。金銭解決で割り切ったほうが現実的ではないのか。
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