2017/05/29
日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は、看護師の採用実態調査に乗り出した。無作為に抽出した全国の4000医療機関を対象にインターネット調査を実施。有料紹介業者の利用実績や1年以内の離職率などを分析し、8月をメドに報告書をまとめる。
厚生労働省によると、病院などが紹介業者に支払う紹介手数料の市場規模は2015年度で約329億円。深刻な看護師不足を背景に前年度比で約12%増加した。
一方で、一部の紹介業者が看護師に短期での転職を促したり、高額な転職支援金で勧誘したりする「行きすぎた転職勧奨」(病院関係者)が横行しており、改善を求める声が上がっている。
調査期間は同月末まで。500床以上の大規模病院から無償診療所までを対象に「紹介業者の利用実績」「1人当たりの紹介手数料の金額」「1年以内の離職率」「看護師の充足状況」などを質問。回答内容を踏まえ、医療機関への個別のインタビュー調査も行う。
(日本経済新聞 5月22日)
ある大手民間病院は採用した看護師に祝い金として20万円を支払っている。苦肉の策なのだろうが、看護部長は「紹介会社に手数料を支払うぐらいなら、本人に直接支払ったほうがよいと判断しました」と打ち明ける。
医療機関も介護施設もホームページや求人サイトで看護師を採用できればよいのだが、それだけではいっこうに採用できないので、やむなく人材紹介会社を頼っているといってもよい。良い人材を確保できれば手数料分を回収できるだろうが、「紹介会社経由で採用した看護師は定着が悪い」(訪問看護ステーション経営者)という指摘もある。背景は、この記事にある「行きすぎた転職勧奨」だろう。
転職支援金と転職勧奨――この2つについては改善が必要だが、規制するガイドラインを設けても、人手不足の前では無力だ。紹介会社に自主規制を求めても面従腹背だろうから、当面この問題はくすぶりつづける。
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