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アストラゼネカ社員3名、不当降格で労働審判

製薬会社アストラゼネカ(大阪市)の営業職のMR(医療情報担当者)だった男性社員3人が11日、降格・減給されたうえ、資材管理担当に配置転換されたのは不当だとして、地位確認と減給分の差額支払いを求めて東京地裁に労働審判を申し立てた。

申立書などによると、山梨理さん(54)ら3人はMRとして22~31年のキャリアがあったが、1月に降格と減給を言い渡され、配転させられたとしている。山梨さんら2人は遠隔地へ単身赴任せざるを得なかったという。

山梨さんは東京都内で記者会見し、「パンフレットの管理など1日1時間で終わる仕事しか与えられず、専門知識を生かせない。給料は手取りで3割以上減った」「後輩が同じ目に遭わないよう審判を申し立てた」と話した。

支援する労働組合「東京管理職ユニオン」によると、他の社員8人が6月までに降格・減給の無効を求め提訴するほか、育児休暇明けに不当な人事評価を受けたとして女性社員2人がマタハラ訴訟を準備しているという。
(毎日新聞 5月12日)

この問題について日本経済新聞(5月12日付)は、申立人が記者会見で「定まった席はなく仕事も1時間弱で終わる。気持ちを折るため、いわゆる『追い出し部屋』に追いやられている」と報じている。
 
当該企業の言い分がどうであれ、追い出し部屋の存在は、大半の社員の目には明らかなものだ。追い出し部屋への異動はハラスメントであり、人権問題として見なすべきだろう。就業規則を犯していない限り、社員の解雇にはリスクを伴うので、依願退職に追い詰めるために、あの手この手を乱発するのだが、そこには最低限の道義が欠落している。

厚生労働省はブラック企業を公表したが、ハラスメント企業も公表したらよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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