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大成建設、AI活用し無人化施工開発へ 建機が自律走行

 大成建設は人工知能(AI)を活用した無人化施工システムを開発する。建設機械を自律走行できるようにする制御システムと、作業員との接触を防止する検知システムの技術開発に着手した。建設作業の省人化につながると見込み、2018年度にも盛り土を固める建設機械で検証する。

走行を制御するシステムはまず建設機械に各種センサーを取り付け、熟練作業員が実際に操作する動きなどの情報を取得する。その後、シミュレーターを活用し、様々な現場の状況でどのように作業するかをAIにさらに学習させてシステムを構築する。18年度に試験場で自律走行できるか検証したうえ、19年度にも実際の現場で実証実験する。
作業員を検知するシステムは建設機械にカメラを取り付け、AIを活用して画像データから人か障害物かを検知できるようにした。体が向いている方向から作業員が移動する方向を予測することもでき、危険回避に活用できる見通し。基本的なシステムは開発済みで、ノウハウを今後蓄積する。

2種類のシステムを搭載した建設機械は、土を固める振動ローラーからまず適用する。その後、岩を砕くブレーカーと呼ぶ建設機械にも導入する予定。新システムでは作業を監視するためのスタッフも不要になるほか、ノウハウが複雑なブルドーザーなどでも無人で運転できる技術が開発しやすくなる見込み。
(日本経済新聞 5月6日)

建設業界は、人手不足が深刻な業界のひとつだ。東日本大震災の復興需要が継続する中、東京オリンピックに伴う工事の増加などにより、建設需要は増大している。一方、労働力の供給は、建設労働者の高齢化で大幅な増加は望めない。厚生労働省が4月28日に発表した3月の有効求人倍率によれば、建設業は3.61倍と、同様に人手不足に悩まされている飲食などのサービス業の3.05倍と比べても、遥かに高くなっている。一部では、外国人労働者の導入も進んでいるが、熟練技能労働者の代替としては厳しい。

こうした中、建設業にとって、労働生産性の向上は喫緊の課題だ。今までは、建設機械の進歩によって生産性の向上は図られてきたが、機械を使っても、機械の運転と安全のための作業の監視は人手に頼らざるを得なかった。しかし、人工知能(AI)の登場によって、運転と監視も含めた自動化が可能になりつつある。これらの技術は、2020年の東京オリンピックには間に合わないかもしれないが、10年以内には、建設現場の労働環境を一変させ、生産性を飛躍的に向上させるポテンシャルを持っている。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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