2017/04/19
70歳までを「ほぼ現役世代」とし、この年齢まで働ける社会にすべきだ――。65歳以上の人の働き方などを議論する自民党のプロジェクトチーム(座長・片山さつき政調会長代理)が13日、こんな提言の骨子案をまとめた。超高齢化社会に備えるためで、今後、政策に反映するよう厚生労働省などに求めていく。
65歳以上とされている高齢者の定義を、日本老年学会などが「75歳以上」とすべきだとの提言をしたことなどを受けてまとめた。
骨子案では、65歳までを「完全現役」とし、定年を65歳に引き上げることを求めた。そして、定年から70歳までを「ほぼ現役世代」として、それまでの経験を生かして地域と一体となった仕事や社会活動に参加してもらうとした。
そのための環境整備として、公的年金について受給開始時期を遅らせると有利になるような具体策の検討などを求めている。詳細を詰めた上で5月上旬にも上部組織の「一億総活躍推進本部」(本部長・川崎二郎元厚労相)の提案としてまとめ、政府に提言する。
(朝日新聞デジタル 4月13日)
日本老年医学会が高齢者の定義を「75歳以上」に引き上げるべきだと提言したことが、さっそく利用された。学会は社会保障制度に結びつける意図はないと表明していたが、年金支給年齢を引き上げたい側は、学会の意図には関係なく、積極的に援用してゆく。これは当初からわかっていたことだし、援用はこれからが本番だ。
60歳を過ぎた世代に現役志向が強いことは、年金受給年齢の引き上げ施策にとって追い風である。現役で働きつづけたいし、年金もほしいのがホンネだろうが、高齢者の仲間入りを先送りされれば気分がよくなる。
第一線で働きつづけた人にとって「当てにされる」「評価される」ことは、何よりの生きがいだ。心身の健康にもよい。当てにされ、評価される機会がなくなることは、前途の光を失うことに等しい。この心理を巧みに突いて、年金政策が講じられてゆくのだろう。
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