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製薬各社、医療経営士を増員へ 変わる“医療”への対応急ぐ

製薬各社は医療ニーズの開拓や医療経営に精通する専門職を増やす。武田薬品工業は2017年内にチームリーダー職の「医療経営士」の資格取得率を、16年11月比約2倍の100%弱とする。医療機関のニーズを調査する「コーディネーター」(仮称)も17年度中に現在比2倍程度の約20人に増やす。エーザイや中外製薬も同様の専門職を増員する。地域包括ケアシステムの普及といった医療形態の変化に対応する。

医療経営士は、日本医療経営実践協会が認定する医療と経営の知識を備える人材。武田薬品は医療経営士を増やして、医療の効率化を幅広い視点で考えられる社内環境をつくる。

コーディネーターは全国で10人弱を置き、各地の医療ニーズの調査などを進めている。17年度中に増員し、地方自治体やIT企業との協業を模索する。
(日刊工業新聞電子版 3月20日)

ある大手ゼネコンの医療福祉事業部門には、日本医業経営コンサルタント協会が認定する「医業経営コンサルタント」資格保有者が在籍している。数年前、資格保有者に取材する機会があった。彼は「従来型の“業者”にとどまっていては、業務に発展を見込めません」と資格取得の理由をこう語った。

「社会保障費抑制策によって病院や介護施設の経営環境が急速に変化しているなかで、医業経営の知識を習得しないと、施設のニーズを先取りする提案ができません。また、資格保有者であることを示せば、相手もこちらを受け入れてくれて、共通の土俵でやりとりができるようになります」

2018年度診療報酬・介護報酬の同時改定がともにマイナス改定になりかねない時勢で、医業経営の環境は一層厳しさを増してゆく。関連資格の取得者は増えるのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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