2017/03/17
政府が導入を検討している残業時間の上限規制をめぐり、経団連と連合が導入から5年後に見直しを行う規定を設ける方向で調整していることが9日、分かった。繁忙期に例外的に認める月間上限については、同日の事務レベルの折衝でも経団連が「月100時間」、連合が「月100時間未満」をそれぞれ主張して対立が解けなかった。両者は来週の合意を目指し、大詰めの交渉を続ける。
5年後の見直し規定は、上限時間の将来の引き下げを目指す連合が強く要求。経団連も「実態に即した見直しは検討する」(関係者)との立場から受け入れた。残業時間の規制では、年間上限を計720時間(月平均60時間)とすることで労使が既に合意し、繁忙期の月間上限が焦点となっている。
経団連は、過労死の労災認定基準に抵触する月100時間超の残業を「認めるべきではない」(榊原定征会長)としながらも、「実態を離れた急激な規制は企業の国際競争力を毀損(きそん)する」(同)として、月100時間までの残業を容認するよう強く求めている。
(時事通信 3月9日)
この問題は経団連が過労死の労災認定基準に引っかかる月100時間超の残業回避よりも、企業の国際競争力を優先させたい理由を示せばよいだけのことだ。あるいは月100時間までの残業の容認を求める代わりに、健康対策を示せばよい。
連合もその点を突けばよいのだが、逃げ道を塞いでしまっては禍根を残しかねないと考えているのかどうか。
一方、健康対策は医療界の出番だが、急性期病院に勤務する医師や看護師は月100時間超の残業が常態化している。医師も看護師も、患者の症状が急変すれば、残業時間に関係なく現場から離れられない過酷な職業だ。月100時間問題で医療界に見解を求めるのは、申し訳ない気もする。
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