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男女の賃金格差解消 OECD加盟国に格差

ポーランド、ルクセンブルク、ベルギーなどの国では、このまま進展が続けば、男女の賃金格差が20年以内に完全に解消されると想定されます。しかし、ドイツやスペインは、こうした国々に比べ進展がはるかに遅く、男女の賃金格差は200年以上経っても解消されない可能性があります。格差の解消が政治的優先事項となれば、進展も見込まれるでしょう。OECD加盟国の同一賃金の実現によってもたらされる経済的利益は莫大であり、女性の賃金は現在の価値で約2兆米ドル増加すると見込まれます。

PwCのエコノミストであり、本調査レポートの共同執筆者でもあるヨン・ジン・テオ(Yong Jing Teow)は次のようにコメントしています。

「男女の賃金格差を引き起こす原因は根深いです。しかし、企業や政府がこうした問題を解決するためにできることは、数多くあります。手頃な料金で利用できる保育サービスや男女共同育児休暇といった政策により、より質の高い仕事に就く女性が増えています」
(Pwc調査レポート2月21日:出典・OECDと欧州連合統計局のデータに基づくPwCの分析)

ある上場企業の社長は女性の課長就任比率には関心がないし、比率を設定することに批判的だ。かといって男尊女子ではない。

「私は社員の年齢、国籍、性別に関心がありません。実績を上げてのし上がってきた社員が、たまたま男性だったのか、女性だったのか、あるいは日本人だったのか、外国人だったのかにすぎません。課長就任比率の設定は本末転倒だと思いますね。会社の対面を保つために、課長に適さない女性や管理職を望まない女性を無理やり就任させてしまったら、本人も周囲も困るでしょう」

この会社には女性課長が珍しくないが、ダイバーシティが流行語になる前から女性が活躍し、執行役員も誕生している。政府のかけ声に慌てて歩調を合わせているのではない。「民間企業が政府に振り回されたらロクな結果になりません」と社長は政府主導への追随を戒めるのである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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