2017/02/16
厚生労働省は電通に勤めていた女性社員が自殺し、労災認定された問題を受けて、従業員にとって子育てしやすい企業を示す「くるみん認定」に残業時間規制の要件を加える。
1年間の平均月時間外労働時間が60時間以上の労働者が1人もいないことを要件にする。厚労省は男性の育児休業の取得も要件にして、真に子育てのしやすい企業を認定したい考えだ。
来年度から新基準を導入する。「くるみん認定」は、社員の子育て環境を整えている企業に対して厚労省が認定する。認定企業になると、くるみんのマークや商品を名刺、求人広告につけることができる。企業はイメージ向上に活用できる。
(日本経済新聞 2月10日)
電通が「くるみん認定」を受けていたことが認定の信頼性を失墜させたことは確かだろうが、そもそも子育ては、公的認定による“お墨付き”を得るようなテーマではない。認定制度がどうであれ、子育てと仕事の両立は、社員の生活設計のために取り組むべき必須事項だ。
認定の取得が子育て環境をつくり上げる動機付けになることは否定しない。だが、子育てしやすい職場環境づくりは時代の要請であり、認定を欲しがるテーマではないだろう。はたして公的認定がどれだけの値打ちがあるのか。認定取得企業がアピールしても、受け止める側は特段の評価を下さないのではないか。
いまや公的なものに権威や有難味を認める時代ではない。だが、実質が肝心であることを世間が認識すれば、認定を授与する機関は仕事にならなくなってしまう。
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