2017/02/08
従業員に違法な長時間労働をさせた疑いで、東京労働局が労働基準法違反容疑で強制捜査に入った大手旅行会社「エイチ・アイ・エス」(東京都新宿区)では、2014年以降、違法な長時間労働があったとして5回の是正勧告を受けていたことが1日、同社への取材でわかった。
同社などによると、14~16年の間、各地の営業拠点に対し、労働基準監督署による是正勧告が行われた。しかし、改善が見られていないとして、大企業の違法な長時間労働を専門に取り締まる東京労働局の過重労働撲滅特別対策班(通称・かとく)が16年3月、同社に対し、任意の調査を実施。同7月には本社への強制捜査を行ったという。
(読売新聞 2月2日)
5回も是正勧告を受けてもなお長時間労働が改善されなかったことは、労働基準監督署を軽く見ていたといわざるをえない。たぶん労基署はハラワタが煮えくり返っていたのではないか。ましてエイチ・アイ・エスは著名な企業で、トップの澤田秀雄氏は有力経済人である。担当官は「相手に不足なし」と意気込んで、強制捜査に臨んだのかもしれない。
いまや労務管理はリスクマネジメントの重要項目になったが、大手企業の違法事案がひんぱんに報道されている。まだ自覚が追いついていないのだ。
たとえ労基署の行動が厳格にならなくとも、法令遵守や社員の健康管理は必須事項である。労基署に介入され、報道が継続しないと労務管理の改善は進まないのだろうか。人手不足の常態化で、雇用側は強者でなくなった。従業員を“使う”という感覚が残っていては、遠からず労働市場で見向きもされなくなるだろう。
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