2017/01/31
女性新入社員が過労自殺した広告最大手・電通の問題を契機に、改めて「長時間労働」に注目が集まっているが、業績を維持するため、「長時間労働」の慣行を変えられない企業は多い。では稼ぎながら労働時間を減らすにはどうすればいいのか。午後5時にほぼ全社員が退社しながら、設立から10年連続増収を達成している化粧品販売・開発会社のランクアップ(東京都中央区)の「攻めの残業ゼロ施策」の経営から探ってみた。
ランクアップは従業員数45人のほとんどが女性だ。しかも岩崎裕美子社長(48)も含めて半数は子育て中で、就業時間は午前8時半から午後5時半だが「午後5時退社OK」を社内のルールにしている。オリジナルブランド「マナラ」を展開し、2016年9月期の売上高は約90億円を誇る。
同社では午後5時には社員が帰り支度を開始する。保育園への子供の出迎えや趣味の習い事、社外の人脈拡大などアフターファイブの過ごし方は自由だ。05年の会社設立時から、残業を減らすことを目指し、就業時間は午前9時~午後6時に設定。残業しても午後8時には全員が退社していた。
残業を減らすことを目標にしただけでは、どこの会社もやっていることかもしれない。だが、同社はそれよりも一歩進んだ「定時帰り」を実践している。
(中略)まず始めたのは、仕事量を減らす「業務の棚卸し」だ。「突然『定時に帰りましょう』といっても、業務量が多ければ定時には帰れないから」と岩崎社長。理由もなく続けていた仕事や、自社でやらなくてもいいような仕事を徹底的に見直した。「システム化」「外部委託」「他の社員にお願いする」「やめる」などに振り分けていった。
(毎日新聞 1月23日)
ランクアップの岩崎裕美子社長は、広告代理店の営業本部長としてブラックな職場環境で働いていたという。その経験から負の要素を取り除き、合理的な手法も取り入れて午後5時にほぼ全員が退社できる体制を整えた。
一般に長時間労働の元凶は長時間労働を美徳とする文化だが、ほかにも企業によっては周辺業務が過剰であることが指摘できる。たとえば、業務報告が日報、週報、月報と多重化し、朝礼と夕例、部署幹部と部署全体それぞれの週次会議と月次会議、社長会議に備えた事前対策会議など報告書作成と介会議だけで相当な時間と労力を費やしている。
会議の多い企業では「会議体系」という言葉も使用されているそうだ。たぶん会議そのものが重要な業務と位置付けられているのだろう。会議をやっていないと落ち着かない組織体質におちいっているのだが、同様に長時間働かないと落ち着かないという感覚に麻痺しているのではないか。
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