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日本電産、残業ゼロへ1000億円投資

日本電産は2020年までに1000億円を投資して、同年に国内従業員約1万人の残業をゼロにする。最新のロボットやスーパーコンピューターを導入して製品の開発期間を短縮したり、業務の効率化につながるソフトウエアを取り入れるなどして実現する。優秀な人材確保のためには働き方を抜本的に変える必要があると判断、大型投資に踏み切る。
工場などの生産部門と、開発や事務など間接部門に約500億円ずつ投資する。

工場では外部委託している検査工程などを自社に取り込んだり、最新鋭の自動化設備を導入したりして作業時間を短縮する。開発部門などでも、スパコンを複数台導入して開発期間を短縮する。
工場部門より生産性が劣る事務系社員の改革を重視する。会計や労務部門には業務の効率化につながるソフトウエアやテレビ会議システムを導入する。職場配置も見直し社員の移動にかかる時間を減らす。

残業代がなくなる分は賞与や手当の増額で補い、年収が減らないようにする。語学や専門知識の習得にあててもらうため、教育関連の投資を従来に比べ3倍に増やす。在宅勤務の試験導入に続き、時差出勤も始める。
(日本経済新聞 1月25日)

ロボットやITに投資することにより、労働生産性を向上させ、残業を削減することは「働き方改革」を推進する上で重要な施策だ。単純に計算すれば、月間200時間働いている職場で生産性が25%向上すれば、労働時間を20%削減でき、月40時間の残業は不要となる。最新のテクノロジーを積極的に取り入れれば、25%の生産性向上は不可能な数字ではない。

ただ、長時間労働の要因は、生産性の低さだけではない。繁忙期と閑散期との間で、必要とされる労働力の差が大きい場合も残業が増えることがある。たとえば、繁忙期に残業ゼロになるように人員を配置すると閑散期には人が余る。このため、閑散期に合わせて人員を配置し、繁忙期は残業で労働力の投入量を調整することも多い。平時だけでなく、ピーク時の残業も減らすには、人手に頼らずに業務量の増加に対処できる業務プロセスの構築が必要だ。そのための知恵と工夫と投資も求められている。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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