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厚労省、成果型賃金導入に助成

厚生労働省は社員の能力や仕事の成果を賃金に反映させる人事制度を導入した企業への助成制度を設ける。賃金の引き上げや離職率の低下、生産性の向上を条件に、1社あたり最大で130万円を支給する。能力や成果が賃金に反映される制度の導入で社員のやる気を引き出し、企業の生産性向上を狙う。

新しい助成金は雇用保険の積立金を活用し、2017年度から始める。日本企業に多い年功序列型賃金は勤続年数に応じて能力も上がる前提に基づいて支給される。だが能力や成果に対する評価が十分反映されていないという指摘もあり、社員のやる気を妨げる壁になっている面がある。
(日本経済新聞 1月16日)

いまどき、成果を賃金に反映させず年功序列型を継続している企業は珍しいだろう。成果型賃金制度の導入は、同業・同規模他社の事例を参考にすればよいのだから、さほど手間のかかる作業ではない。助成金の必要な経営課題とは思えないが、予算措置が取られたということは、厚生労働省には何かしら思惑もあるのだろう。

助成金制度の活用でいまも変わっていない問題は、中小企業が制度を知らないことだ。省庁や自治体、商工会議所などのサイトを検索すれば、いくらでも情報を入手できるのだが、関心が向かないようだ。「忙しくて見る時間などない」。これが決まり文句だが、サイトで検索する時間ぐらいを確保できないはずがない。

一方、制度を有効に機能させたいのなら、関連機関は中小企業への広報をもっと工夫して、申請手続きを面倒だと思わせないような簡素化も必要だ。さらに申請手続きをコンサルタントや士業に丸投げするのはいただけない。制度活用ノウハウが一向に身につかない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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