2016/12/17
ニコンは12日、先月発表した構造改革の一環として1000人程度を募集するとしていた希望退職の細則を発表した。ニコン本体と国内グループ会社で合計1000人程度を来年1月30日から2月10日にかけて募る。ニコン本体では退職日となる2017年3月末時点で40歳以上かつ勤続5年以上の社員が対象。通常の退職金に加え、特別加算金を支給し、希望者には再就職支援を実施する。
赤字が続く半導体製造装置事業を中心に、デジタルカメラなどの映像事業や本社部門でも人員適正化を図り、固定費を大幅に削減する考えだ。
(日本経済新聞 12月13日)
トランプ相場で為替レートが急速に円安へ傾き、海外事業の比重が大きい製造業では、一息ついている企業も多い。しかし、個別には、なお業績不振に悩まされている企業もある。
ニコンの半導体事業は、半導体露光装置で世界シェア2位など、高い競争力を維持していきたが、それでも、半導体市場全体の低迷の中では、利益を上げることがむずかしくなっていた。資本効率の向上という観点では、人員や設備のリストラを行い、固定費の削減を進めることは理にかなっている。ニコンがリストラを含む構造改革を発表したのは、為替レートが円安に振れる前だが、たとえ現在の円安が定着したとしても、リストラは継続するだろう。
ニコンにとっても、あるいは、同様に構造改革を迫られている日本の製造業にとっても、次の課題はリストラの後の成長戦略だ。成長戦略がすでに明確であれば、希望退職ではなく、人事異動で対処できる範囲もより大きかったのかもしれない。資本の有効活用とともに、組織に蓄積されたノウハウを活用した成長戦略を描くこと、それも経営者に課せられた使命のひとつだ。
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