2016/11/12
米シカゴで10月に開催されたHRテクノロジーカンファレンスは、企業における人事業務のIT(情報技術)支援に主眼を置いた世界最大のイベントである。会場には400を超えるブースが並び、大きな盛り上がりを見せた。この分野で先行している米国では、AI(人工知能)活用を見据え、人事関連のビッグデータの蓄積が本格化していた。
近年、「金融(Finance)×テクノロジー」を意味するFinTechというキーワードを日本国内で目にする機会が増えた。FinTechは米国にやや遅れるかたちで国内に広まったが、そのシリコンバレーで投資額が大きく伸びるなど隆盛の兆しを見せているのが「HR Tech」である。HR Techとは「Human Resource(人材)」と「Technology」を掛け合わせた造語であり、シリコンバレーでは2010年ごろからHR Tech関連ベンチャー企業への投資が活発化し始めた。14年には15億ドル、15年には24億ドル超もの資金がHRテックに投下されている。
(日本経済新聞 10月27日)
従来のHR Techは、ITを駆使して業務の効率化を図るものが多かった。しかし、近年では、他の分野と同様に、ビッグデータと人工知能(AI)を活用して業務の付加価値を向上させるものが増えてきている。
大量の人事データをAIで分析し、システムが予測や対策を提示することで、人事業務のパフォーマンスを向上させる。ひと昔前なら夢物語だったこうしたITシステムの使い方が、ごく普通になってきた。たとえば、既存業務に適する人材を大量の候補者の中から抽出するような作業はAIの得意とするところだろう。
ただ、注意すべきなのは、全く新たな事業に取り組むためのプロジェクトチームの編成など、過去のデータだけでは判断しにくい場合の対応だ。このような場合、重要なのは過去の実績ではなく、リーダーの人間力のような定量的には把握しにくい要素だったりする。AIが、そこを理解できるようになるには、もう少し賢くなる必要がある。
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