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「学びの素早さ」経営者の必須要件

現代の経営者に求められる資質は何か。決断力やビジネスへの洞察力が必要なのは昔から変わらないが、高速で変化する今の時代には「ラーニング・アジリティー(学びの素早さ)」と呼ぶべき資質の重要性が高まっている。
 
「学びの素早さ」とは、好奇心の旺盛さと言い換えてもいい。例えばここに挙げる二者択一で自分はどちらのタイプか考えてほしい。
 
仕事においては「よく知っていることをさらに深めていくのが好き」か「なじみのないことについて理解するのが好き」か。自分が充実していると感じるのは「自分の専門性を活用できる複雑な問題に取り組むとき」か「解決方法の見当もつかないような未知の問題に取り組むとき」か。
(日本経済新聞 10月10日)

これは世界的な人事コンサルティング会社であるコーン・フェリーCEOのゲーリー・バーニソン氏の発言である。プロ経営者に象徴されるように、身を置く業界が変わっても成果を出せる人は「ラーニング・アジリティー(学びの素早さ)」がすぐれている。
 
当人はプロ経営者と呼ばれることを拒否していたが、外資系企業のCEOを数社経験して日系企業の社長はこう話していた。

「私に限らず、いろいろな業界を渡り歩く人にとって、新しい業界の知識がないことはハードルになりません。私の場合、就任して3カ月は本社各部署と各事業所を廻ってヒヤリングを重ね、強みと弱みを把握します。そのうえで、顧客視点で何を伸ばし、何を改善するかを徹底的に考え抜いています」
 
この社長も、すぐれたラーニング・アジリティーの持ち主である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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