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大戸屋HD、創業家との対立は「十分な意思疎通の欠如」が原因

創業家と会社側の対立が続く大戸屋ホールディングス(HD)は3日、確執の原因を「双方の対応に問題があり、十分な意思疎通を欠いた」などと総括した第三者委員会の調査報告書を公表した。記者会見した窪田健一社長は「無用な対立はすべきではない」と述べ、和解に向け意欲を示した。だが、双方が代理人弁護士を立てるなど「(創業家と)直接対話は難しい」(窪田社長)状況にあり、解決への糸口は見つかっていない。
 
第三者委は、昨年7月に死去した前会長、三森久実氏に対する功労金支払いが決着していないことと、早期の社長就任にこだわった同氏の長男、智仁氏の香港赴任の内示が確執のきっかけだったと分析。創業家に対しては「コンプライアンス(法令順守)やガバナンス(企業統治)に対する基本的な理解不足があった」と厳しく指摘した。
(産経新聞 10月3日)

株式上場をもって企業は公器に転身するのだから、創業家は経営に介入すべきでない、介入しつづけたいのなら未上場にとどまるべきである――これは一般論であり、創業家にとっては、影響力を行使しえてこそ創業家なのだ。良し悪しでなく、これは本能ともいえるだろう。

創業家にとっての優先順位は、企業の発展よりも、創業家としての影響力の保持が勝るのが常である。経営陣が影響力の低減を経て排除に至りたいと考えるのなら、結局は金銭で決着する以外にないのではないか。

大戸屋HDでは「既存店の売上高が今年8月まで4カ月連続で前年を下回り、9月28日には取締役2人が辞任した」(10月3日付け産経新聞)。既存店売上高の減少が内紛の影響かどうかは定かでないが、内紛が決着しなければ、ズルズルと業績に影響が出てゆくだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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