2016/09/01
「他社に負けるな。目立つことをやれ」。保育園「アスク」を運営する保育大手、JPホールディングス社長の荻田和宏(51)は、採用担当に活を入れた。
230人の採用目標を掲げた今春。努力及ばず、30人足りなかった。保育士資格を持つ本社スタッフを現場に配置転換するなどし、辛うじて4月に計画通り9園を開いた。だがやりくりも限界。来春の新卒採用で250人の確保が至上命令だ。
初任給の上乗せぐらいでは同業他社と差がつかない。秘策の一つは「現ナマ」攻勢だ。
「ウチの首都圏の保育園で働いてくれるなら入社時に10万円支給します」。採用担当の小林弘輝(30)は北海道から沖縄まで、27都道府県の保育士養成学校約100校を訪問し、学生を口説く。地元志向が強い学生に、都市部へ目をむけてもらいたい。今春採用から導入した苦肉の策だ。
(日本経済新聞 8月23日)
民間病院のホームページを検索すると看護師募集の欄に「就職祝金30万円支給」と書かれてあった。看護師も人手不足がつづき、人材紹介会社に依存せざるをえない病院は多いが、都心など勤務先としての立地条件に恵まれた病院には、ホームページ経由で採用できている例もある。
その病院の看護部長に尋ねたら「人材紹介会社に手数料を払うぐらいなら、入職者本人に直接支払ったほうがよい」と答えてきた。当然だが、それにしても公募してくる人材に祝金30万円支給とは、ずいぶん気前のよい話だ。
やはり人手不足が慢性化した介護職については、地方で賃上げによる引き抜き合戦が盛んになってきたという。
「現在の給与に対してヒラのスタッフで月3万円、管理職だと月5万円を上積みするから移籍しないかと誘いかけているのです。介護福祉士資格保有者の雇用は介護報酬の算定要件に関わってくるので、現ナマ攻勢をしてでも確保しなければならないのが実情です」(福祉経営コンサルタント)。
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