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シャープ新社長、信賞必罰人事を強調

シャープの新社長に13日付で就いた台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の載正吾副総裁は22日、シャープの組織や人事制度を大幅に見直す考えを表明した。同日に社員に出したメッセージで「信賞必罰を原則とし、成果を上げた人に処遇やポストでしっかり報いる」と指摘。早期黒字化に向け、近く「社長室」を新設して人事を掌握し、鴻海流の経営を浸透させる。

「信賞必罰は鴻海だけでなく全世界で見られるが、日本ではあまりない。でもこの言葉は日本語だ」
22日にシャープ本社(堺市)で記者団に経営方針を説明した載氏が繰り返したのが「信賞必罰」だ。7千人規模の社員を減らす可能性を出資前に示唆したこともあったが、22日には「人員削減ではなく適正化。『削減』の文字は出てこない」と語った。

ただ、載氏は「遊んで給料をもらっているような人は処理する必要がある「できれば今の社員に残ってほしいが改善ができなければ人員削減をやらないといけない」とも発言。全社的な数値目標を設けて削減しなくても、事業整理や鴻海のような成果主義で、人員は自然に絞られていく考えがあるようだ。
(日本経済新聞 8月23日)

シャープの社員には、新社長が発信したメッセージを見て「しまった!希望退職しておけばよかった!」と悔やんでいる人が多いのではないか。もはやシャープは日本企業ではなく、今後は割増退職金を発生させないため、依願退職へと社員を追い込んでゆく人事が打たれるかもしれない。

雇用は守ると宣言して買収したとはいえ、買い手は外国企業である。日本流の雇用慣行を守る筋合いなどないだろうし、業績回復が最優先である以上、成果主義の大義名分のもとにバッサ!バッサ!と社員を切り捨てることは容易に想像がつく。

しかし、かりにグローバルスタンダードと称して、背伸びしても届かないような成果目標を設定して人員削減を実施したら、目標必達者も(明日は我が身)と転身先を探し始め、社内の志気は低下するだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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