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弁護士の年収低下 2千万円超えは登録10年目

法務省の調査で2015年の新人弁護士の平均年収は568万円となり、5年前の10年に比べ210万円減ったことがわかった。新人ばかりでなく、全体的に弁護士の平均年収は低下傾向にある。収入源だった消費者金融への過払い金返還請求の業務が一巡したほか、法曹人口の拡大で「弁護士余り」の状況が続いていることも背景にあるとみられている。

15年の弁護士の平均年収調査は、法務省が日弁連などの協力を得た今年3月に実施。弁護士2万1313人に調査票を送り、7912人から回答を得た(回収率37%)。
登録1~15年目の平均年収を分析。1年目は568万円で、10年の778万円よりも27%減った。登録5年目は1412万円で、同じく754万円(35%)下がった。登録10年目は2251万円、登録15年目3085万円となり、それぞれ406万円(15%)、617万円(16%)減った。
年収2千万円を超えた時期は10年は登録5年目だったが、15年は登録10年目で、弁護士が以前ほど稼げない実態が浮き彫りになった。
(日本経済新聞 8月10日)

4~5年前になるが、過払い金返還請求が終息を迎えつつあることを見越して、労働審判の業務に弁護士がシフトする兆候がみられた。当時、都内の中堅弁護士は「裁判所からも今後は労働審判が激増するので勉強しておくようにと助言された。労働審判が発足したのは弁護士に仕事を与えることが目的だと思う」と語っていた。

ブラック企業問題の噴出で労働審判が全国で増えると見込まれていたが、人手不足に悩む多くの企業はブラック体質の改善に入り、不当に解雇された従業員も「裁判にまで持ち込むと危険人物という風評が広がって、次の就職活動に響くと懸念して(中堅弁護士)、見込み通りに労働審判は普及しなかった。
その結果、弁護士の年収が減ったのだが、登録1年目に568万円、10年で2251万円なら御の字だろう。だが、先の中堅弁護士は「青春を犠牲にして司法試験の勉強に費やしたのだから、10年経ったら4000~5000万円は欲しい」と漏らす。欲にはキリがない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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