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情報通信白書「雇用に影響を与える人工知能への準備に遅れ」

政府はことしの「情報通信白書」をまとめ、国内の企業の間ではあらゆるモノがインターネットにつながるIoTなどを活用する取り組みが遅れていると指摘したうえで、今後、投資を進めれば2020年度時点でGDP=国内総生産を実質的におよそ33兆円押し上げる効果が期待できるとしています。

政府は29日の閣議で、IoTや人工知能など新たな技術の現状をまとめた「情報通信白書」を決定しました。

それによりますと、日本や欧米、中国などの企業を対象にしたアンケート調査の結果、日本企業はIoTを活用した業務の効率化や新商品の開発の進展度合いを示す指標が各国に比べて低いと指摘しています。さらに2020年にかけて、各国との差が開いてしまうおそれがあるとして、日本の大きな課題の1つである労働力不足に対処するためにも、IoTなどへの積極的な投資を行い、生産性を向上させることが不可欠だとしています。そのうえで今後、投資を進めれば2020年度の時点で、GDPを実質的におよそ33兆円押し上げる効果が期待できるとしています。

また、白書では、雇用に影響を与える人工知能についてのアンケート調査の結果、日本はアメリカに比べて準備が遅れているとして、人工知能を活用する技術の習得など教育の充実が重要だと指摘しています。
(NHK 7月29日)

あらゆるモノがインターネットに接続されるIoTの普及によってデータが大量に発生している。このビッグデータを人工知能で分析、学習することにより、今まで人間にしかできなかった業務をコンピュータや知能ロボットが代替する時代になってきた。

先日、囲碁のプロが人工知能に1勝4敗と負け越したが、囲碁に限らず、業務によっては、既に、人工知能が人間を超えている。今や、コールセンターで、問い合わせに最初に応答してくれるのは、人工知能だ。人工知能は一度に大量のコールが押し寄せても対応できる。

また、人工知能のコールセンターは国内に置く必要がない。人間のオペレータによるコールセンターを海外に置く場合は、日本語を話せる人を集めるのがネックだった。しかし、人工知能は、ネットワークにつながっていれば、世界中、どこへでも設置できる。

政府はIoTや人工知能で、GDPの33兆円増を目論むが、国際競争に敗れれば、33兆円は海外に奪われ、日本のGDPは逆に減少しかねない。付加価値の高い雇用を国内に維持するには、国際競争力の強化が必要だ。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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