2016/08/05
ゼンショーホールディングス傘下の牛丼チェーン「すき家」が国内約2千店の店長を原則として、転勤がない地域正社員と契約社員に置き換えることを計画していることが29日、わかった。パートやアルバイトから希望者の登用を進め、2020年度末までの実現を目指す。
人手不足が深刻化するなか、給与面などの待遇の改善で離職を防ぎ、新卒採用の正社員は出店を加速している海外事業に重点配置する狙いがある。
ゼンショーは14年に過重労働問題が判明して以降、1人で複数の店舗の店長を兼務することをやめ、各店に店長を置くことを目指している。現在は約2千店に対して店長は約1300人。契約社員が700人、地域正社員が300人、正社員が300人となっている。これを20年度末に契約社員を1800人、地域正社員を200人とする方針。
(産経新聞 7月29日)
地域社員制の導入が、現役世代の人口流出減少に結びつけば地方振興に合致する。雇用能力の高い大手企業が地域社員を増やせば、地元で働く若者が増え、結婚と子育ても地元でというライフスタイルの定着を期待できる。
地方振興のキーワードのひとつが介護業界から提言され、厚生労働省が推進しようとしている地域包括ケアシステムである。身体機能が低下しても在宅生活を持続できる医療、介護、住まいを整備するというコンセプトで、医療費削減が発端となった。市民に対しては「住み慣れた地域で暮らす」という生活シーンが提示されている。
だが、地域包括ケアを実践するのは家族の介護力が前提となる。すでに家族の介護力は衰弱の一途をたどっている。しかも老老世帯は遠からず独居世帯に移行し、独居高齢者は身体が重症化すれば、介護施設や高齢者住宅に入所する。地域によっては、地域包括ケアの対象者がほとんど存在しなくなるという事態も想定できる。
地域包括ケアを実践できる地域、実践できない地域に分けて議論すべきである。
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