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歓送迎会後の事故死で労災=参加「会社の要請」

福岡県で2010年、職場の歓送迎会に参加した後、残業のため会社に戻る途中で交通事故死した男性会社員の遺族が、国に労災認定を求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は8日、労災と認めなかった労働基準監督署の決定を取り消す判決を言い渡した。
遺族側が逆転勝訴した。
第2小法廷は、上司の意向で歓送迎会に参加した実態などを踏まえ、男性の一連の行動は会社側の要請によるものと判断。労基署の決定を支持した一、二審を破棄するなどした。
判決によると、男性=当時(34)=は福岡県苅田町でメッキ加工会社の工場に勤務していた10年12月、中国人研修生の歓送迎会に参加。終了後に車で工場に戻る途中、研修生を自宅に送った際にトラックと衝突して死亡した。男性は酒を飲んでいなかった。
(時事通信 7月8日)

勤務時間にはカウントされず、就業規則にも規定がなくとも、歓送迎会は業務の一環である。これは明白な現実だ。外資系はともかく、どんな企業でも社内行事への参加状況は人事評価に影響をおよぼす以上、行事も業務に含まれることをハッキリとさせればよい。

始業前や就業後に勉強会を実施している企業には、勉強会は業務ではないために時間外勤務には該当しないという理由で、時間外手当を支払わない例も少なくない。だが都道府県の労働委員会のなかには「それは、おたくの会社の論理で、世間では時間外労働と言う」と指摘した事案もある。

この記事の出来事では、会社側が我を張らずに、遺族に対して誠実に向き合っていればよかったのだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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