政府は18日、産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)の分科会を開き、公共職業安定所(ハローワーク)と民間事業者との連携を拡大する検討に入った。実績などを審査した上で民間の人材ビジネス事業者にハローワークの業務を委託。ハローワークが利用者に委託先の民間事業者を紹介できるようにする。全国にある職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)の民間委託や共同運営なども想定している。
民間議員が「雇用・人材」の分科会で提案した。政府は9月からハローワークの求人情報を企業や地方自治体にオンラインで提供する予定。さらに追加対応を求めた。
また、技能・知識などを記載する職務経歴書「ジョブカード」の抜本的見直しも求めた。求職者や事業者に十分浸透していないとして、雇用安定事業などで助成金支給の条件とするような仕組みが必要とした。(日本経済新聞 3月18日)
すでにハローワークは実質的に民営化しているのではないか。就職相談コーナーで求職者に相対しているスタッフの大半は有期雇用の臨時職員である。以前に都内のハローワークで、50代の男性相談員に話を聞く機会があった。印刷機械メーカーの人事畑が長く、在籍中にキャリアカウンセラーの資格を取って、ハローワークに職を得たのだという。
この相談員は真顔で言ったものだ。「私も含めてここにすわっている相談員は、1年後には求職者として反対側にすわっている可能性もあるんですよ。失業の不安をかかえている就職相談員なんて、シャレにならないでしょう?」。言われてみればそのとおりだが、それよりも知りたいのは仕組みの問題点だ。
「何がマッチングでの問題だと思いますか?」。相談員は少し間を置いたのちに「札付きのブラック企業でも求人登録の申請があれば、受け付けなければならないことですね」。
受け付けた以上、紹介もする。「自分の応募する企業が社員を使い捨てすることを知らない求職者も結構いるんですが、応募したければ紹介状を用意しなければなりません」。
政府が民間事業者との連携を進めるうえでは、相談員の士気高揚や登録企業の選別など中身の改善も検討課題に含めるのだろうか。
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