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同一労働同一賃金はどこまで普及する?

同一労働同一賃金の考え方は西ヨーロッパ各国で始まった。1950年代には男女の賃金差別を禁止。やがて、不利益を与えてはいけない対象に、パートや派遣労働も含めていった。

代表格はオランダで、姫路市のエス・アイも「オランダ型を目指している」という。
同国は1980年代から90年代にかけて議論を重ねながら、「同一の価値を持つ労働においては、フルタイムとパートタイムの賃金に差を付けてはならない」という法制度を整え、浸透させてきた。

EU(欧州連合)の労働法に詳しい高橋賢司・立正大学准教授によると、欧州では主に仕事の内容、つまり「職務」によって賃金が決まる。
この「職務型」に対し、日本企業の多くは「職能型」であり、能力やスキルで賃金が決まる。ただ、日本ではスキル評価の仕組みが整わないまま、戦後経済を駆け抜けた。

「だから実際には、職能の部分は勤続年数で評価されるようになりました」と高橋准教授は指摘する。勤務年数が長いと賃金が上がり、それが終身雇用制度を支えることにもつながる。
一方の欧州では、仕事内容が同じであればどの企業であっても賃金に大きな差はなく、それに伴って転職市場も発達した。欧州型と日本型。違いは大きい。
(Yahoo!ニュース編集部 6月16日)

一億総活躍プランが閣議決定し、同一労働同一賃金の導入が加速してきた。非正規労働者を本人の希望に応じて正社員に移行させる措置と併行して、非正規労働者の賃金を引き上げないとアベノミクスの面目が立たない。格差の解消は現実には不可能だが、格差の縮減を図ることは、消費増税の地ならしのようなものだ。
賃金格差のストレッチを図っておかないと、消費増税に耐えうる経済力が身につかない。
次に進めないのだ。

同一労働同一賃金は、個人事業主には当たり前の報酬体系である。企業と労働者の関係も、やがて雇用から業務委託へと進んでゆくかもしれない。副業の自由化はその兆しである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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