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大戸屋創業家、会社側の人事案に反対

定食店を運営する大戸屋ホールディングス(HD)で経営陣と大株主である創業家の対立が深まっている。2015年7月に死去した元会長、三森久実氏の妻と長男が株主総会で会社側が提案する人事案に反対すると表明。同社幹部は「一切コメントするつもりはない。人事案も変更する予定はない」としており、6月23日に開催予定の定時株主総会は紛糾しそうだ。

死去した元会長の長男で今回反対を表明している智仁氏(27)は、日本経済新聞の取材に対して「これだけ大幅に取締役の構成をかえるのに納得のいく説明がない。見識のある社外取締役も全員かわるのは理解に苦しむ」と述べた。
(日本経済新聞 5月22日)

創業家の三森智仁氏は昨年11月に常務取締役から取締役に降格し、今年2月に辞任している。この問題は創業家のあり方を投げかけている。

創業家にとって、会社の発展と一家の基盤保持のいずれが大切なのか。多くは後者だろう。上場すれば会社が公器となることは十二分にわかっているのだから、役員人事に固執しないほうがよい。自他ともに認めるような実力者でない限り、(君臨すれども統治せず)がよい。

大戸屋ホールディングスは一般に馴染みのある会社だけに、創業家と会社側との対立は紛糾次第でメディアにとって格好のネタになるかもしれない。実力者が去ると、人事争いに突入するのは世の習いのようなものだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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