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東芝退職者、各業界から引っ張りだこ?

退職募集が1月から2月にかけて本格化するにつれ、東芝社員が閲覧できる社内ネットに、退職を検討している社員向けの求人案内が次々と掲載され始めた。
大手損害保険会社、大手不動産会社、自動車会社、警備会社、コンビニエンスストア、地方銀行……。東芝ほどグローバルな企業ではないかもしれない。それでも、世界中に展開している企業、名前を聞けばだれでも知っている企業がずらりと並ぶ。
(中略)

気になるのは給与だ。「20万~42万円(経験、能力により優遇)」、「年収500万~1000万円(経験・能力等により決定)」。これは幅がありすぎて、話を聞かないとよくわからない。大卒初任給が書かれた求人もある。
(中略)

「東芝の社員にはとても優秀な方が多い。県内の企業の関心も高い。Uターン、Jターンの再就職はもちろん、うちの県に移住したいという方がいれば、できるだけ支援させていただきます」
 西日本のある県の労働政策課担当者はこう語る。
(毎日新聞 4月2日)

「倒産した会社の社員は縁起が悪いから採用しない」と公言する経営者に何人か会ったことがある。採用拒否には、悪運を持ち込まれかねないという理由だけでなく、負け癖が体質に染み付いているから、という怖れもあるようだ。

だが東芝の場合は、歴代社長の犯した不祥事が原因で、社員には関係がない。アイリスオーヤマがシャープ出身者を続々と採用したように、東芝出身者もあちこちから引っ張られるだろうが、50歳を過ぎた社員だと財務・法務・IRなどの専門スキルや、特殊な営業ルートの持ち主でないと厳しいだろう。

東芝社員にとって肝心なことは、できるだけ早く就職先を見つけることに尽きる。仕事をしないまま半年も過ぎると、人が変わったように全身から生気が抜け出て、見た目からして“終わった人”になってしまいかねない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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