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セブン&アイ鈴木敏文会長が退任へ

流通大手セブン&アイ・ホールディングス(HD)の鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO、83)は7日、東京都内で記者会見し、「引退を決意した」と辞意を表明した。同社は同日午前の取締役会で、中核子会社セブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長兼最高執行責任者(COO、58)を交代させる鈴木氏主導の人事案を否決しており、混乱の責任を取った形。セブン-イレブンの実質的創業者で「コンビニエンスストア生みの親」である鈴木氏が、お家騒動で一線を退くことになった。
鈴木氏は会見の冒頭、人事案提出の理由を説明。セブン-イレブンは2月まで43カ月連続で既存店売上高が前年を上回るなど好調だが、井阪氏以外の努力によるもので「残念ながらCOOとしての才覚がほとんど出てこなかった」と切り捨て、「7年も(社長を)務めたのだから十分ではないか」と述べた。

 会見に同席した村田紀敏・セブン&アイ社長兼COO(72)は、井阪氏の交代に、創業者の伊藤雅俊名誉会長(91)が反対だったことを明らかにし、HD株式の約1割を握る創業家の反対が採決に影響を与えたことを示唆。鈴木氏は「『資本と経営の分離』はきちんとすることが大変重要」と述べ、伊藤氏との確執をにじませた。
(毎日新聞 4月7日)

 これから退任の真相をめぐる報道がつづくだろうが、83歳という年齢からすれば、直接の原因が何であれ、引退は遅すぎたのではないか。当人にその気がなくとも、これだけ傑出した経営者が80歳を過ぎてもなお影響力を行使しては、いっこうに世代交代ができない。
いまや資本が経営に介入する時代になったとはいえ、鈴木氏ほどの経営者にとって、社長人事案を否決されることは凡人には想像もつかない屈辱かもしれない。
今回の騒動について、うがった見方をすれば、鈴木氏の退任以降、セブン―イレブンの業績が下降すれば、鈴木神話は完成する。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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