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日本の社長はアジア諸国よりも薄給

米グーグルの最高経営責任者(CEO)スンダル・ピチャイ氏はこのほど1億9900万ドル(約225億円)の株式報酬を得た。米企業でも屈指の高給とされる同氏と比べては気の毒だが、日本の経営者の給与は国際水準から見て低い。英人材紹介大手、ヘイズの「2016年アジア給与調査」によると、日本の経営トップの報酬は中国、香港、シンガポールのアジア勢と比べても低く、いくつかの国・地域と比べれば半額という水準にある。

ヘイズがアジアで事業展開する多国籍企業の最高財務責任者(CFO)の給与を比較したところ、シンガポールは2660万~5150万円、香港は2130万~4570万円、中国は1810万~4520万円で、いずれも日本の1500万~3000万円を上回っていた。
(日本経済新聞 2月25日)

かつて“企業一家”といわれたように、日本には家族主義経営が伝統として継承されていた。家族であれば再分配の思想が浸透し、主だけが極端な高収入を得ることはない。しかも、トップダウンとボトムアップが交わって運営される日本の企業は、社長のみに負荷が集中する構造になっていない。
そもそも任務の重さと対比して報酬額が割に合うかどうかは、金銭感覚の問題である。

たぶん、どれだけグローバル化が進んでも、日本では社長が億単位の報酬を得ながら、社員を大量にリストラするような事態は道義的に容認されまい。そういう社長もいなくはないが、ほとんどは自分の給与カットからはじめている。資金繰りが苦しい中小企業では、社長が無給で耐え抜くケースも珍しくない。

諸外国と比べて多いの、少ないのと議論するような問題でもないだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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