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ドラマでの介護の描写「配慮を」-日本介護福祉士会がフジテレビに

日本介護福祉士会は、フジテレビに対し、同局が制作するドラマの介護現場の描写について、配慮を求める意見書を送った。意見書では、ドラマの主人公が介護施設で24時間の連続勤務を強いられるなど、過度に労働環境の悪さや給与の安さなどを強調して表現している点を問題視。番組を制作する際には、介護人材不足を解消するためにさまざまな取り組みが進められている点にも配慮することを求めている。

日本介護福祉士会が意見書で取り上げたのは、フジテレビが今年1月から毎週月曜日午後9時から放映している「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」。この番組では、介護施設に勤める主人公が24時間にわたる勤務を強いられたり、施設の上司らからハラスメントともいえる仕打ちを受けたりする場面が描かれている。
(医療介護CBニュース2月16日)

介護事業者は人員確保で苦労しているのは、離職よりも採用である。平成21年度から26年度にかけて実施した介護労働安定センターの調査によると、従業員が不足している理由で「採用が困難である」が72.2%を占め、「離職率が高い」は17.0%にとどまった。
採用がいかに困難かは、介護人材の供給源である介護福祉士養成の専門学校の数と定員充足率を見れば明らかだ。厚生労働省の調査によると、平成18年の学校数は405校で、平均定員充足率71.8%だった。すでに定員割れを起こしていたが、その後、学校数も定員充足率も悪化しつづけ、平成26年には378校・56.6%にまで低下した。

かりにフジテレビが日本介護福祉士会に求めに応じても、採用難が改善することはないだろう。深刻な問題である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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