2016/02/23
厚生労働省は従業員の賃金に定期昇給制度を導入した介護事業者に対する助成金制度を4月に設ける。制度を導入し、離職率が下がった事業所には最大で200万円を支給する。介護事業者の4~5割には定昇制度がなく、職員は長く勤めても賃金が上がりにくい。年功に応じて賃金を上げる定昇を普及させ、人手不足が深刻な介護職員の確保につなげる。
助成金は3段階に分けて支給する。定昇制度を導入した時点でまず50万円。1年後の離職率が下がっていれば60万円、2年後に離職率が下がっていなければさらに60万円を渡す。
(日本経済新聞 2月14日)
社会福祉法人を指導するコンサルタントによると「介護業界の離職理由は賃金と思われていますけど、じつは組織運営の問題のほうが大きいんですよ」。組織運営の問題とは何か。
「平成24年度社会福祉士・介護福祉士就労状況調査」(財団法人社会福祉振興・試験センター)によると、介護職の離職理由のうち、賃金は4番目だった。
離職理由は多い順に「結婚、出産・育児」「法人・事業所の理念や運営のあり方に不満があった」「職場の人間関係に問題があった」、そして4番目に「収入が少なかった」。
介護職に就く人の多くは、社会貢献を志している。ステイタスや金銭を追い求めるのなら、この仕事に就くことはありえない。それだけに経営層からベッド稼働率や在宅復帰率などの数値目標を与えられ、それが利用者や家族を苦しめる結果になると、いたたまれなくなって退職に走ってしまうことも多い。
問われているのは、理念と運営をどこまで近づけるか――。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。