2015/12/01
安倍晋三首相は25日、「1億総活躍社会」の具体的目標である介護離職ゼロの達成に向け、特別養護老人ホームなどの介護施設の追加整備を塩崎恭久厚生労働相に指示した。
首相は介護の実情を把握するため、配偶者らの介護に当たっている一般の男女10人と首相官邸で懇談。同席した塩崎氏に「介護施設の数も十分ではない。さらに整備計画を追加してほしい」と伝えた。
介護施設について、厚労省は従来の整備計画に約6万人分上乗せし、2020年代初めまでに約40万人分を整備する計画を12日に公表している。首相指示は、さらなる積み増しを求めたもので、政府が26日に取りまとめる緊急対策に反映させる見通しだ。
(時事通信 11月25日)
特別養護老人ホームの開設数を増やすには、開設基準を緩和する以外にない。日本創成会議が提言した高齢者の地方移住プランも、都内の特養不足が発端である。だが、特養を増やすと、ますます介護保険財源が逼迫するのではないか。
その打開策として在宅ケアをメインにする目的で、厚生労働省は地域包括ケアシステムを推進しているが、地域包括ケアの前提は家族ケアである。訪問看護や訪問介護、24時間定期巡回など訪問系サービスをどれだけ拡充したところで、家族のケア体制がなければ在宅ケアは成り立たない。
地域包括ケアシステムとは、要は“家族包括ケアシステム”だが、家族がケアに関わろうとすれば、介護離職が引き起こされてしまう。この矛盾を解消するには、安価な保険外サービスがどれだけ供給されるかにかかっているだろうが、市場原理で安価なサービスが成立するかは難題である。
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