2015/11/25
総務省の調査では、2008年から4年間で、地方自治体における非常勤、臨時職員は10万人増えて60万人になった。全日本自治団体労働組合(自治労)の調査では、70万人と推計されている。公務員の3人に1人が、「非正規公務員」。いわゆる「官製ワーキングプア」だ。
地方自治総合研究所の研究員、上林陽治さんは、『非正規公務員』(12年)という著書で、非正規で働く公務員たちの過酷な状況を指摘している。
「現在、状況はさらに悪くなり、公務員の世界はブラック化している。非正規職員の数は増え、基幹的な業務も非正規が担わされる。ハローワークの相談員が雇い止めにあい、次の日に自分の仕事を求めてハローワークにやってくる。こんなブラックユーモアみたいな話が、実際に起こっているんです」(上林さん)
(dot. 11月19日=AERA 2015年11月16日号より抜粋)
かつてハローワークの相談員を取材したときに、その相談員は「1年後の私はカウンターの反対側にすわって、相談する側に回っているかもしれませんよ」と話していたが、これは自虐ネタではなく現実である。
この相談員は50代前半で、中堅印刷会社の人事部出身。キャリアコンサルタントの資格をもっていたが、ハローワーク相談員になったのは「ギリギリの生活費を稼げて、仕事そのものが何となくノンビリしていそうだから」と脱力系のキャラだった。とても相談者を励ませそうには見えなかったが、そこまでは要求されていないのだろう。
非正規公務員に安定が保証されるのは任期内に限られるが、それでもブラック企業のように賃金未払いなどはないだろうから、一時的に籍を置く職場としては悪くない。雇い止めにあうのは、その是非はともかく、非正規の宿命のようなものだ。
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