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地方創生「若者が定住できる社会づくり」のジレンマ

 
日本経済研究センターは7日、東京都内で集中セミナー「逆風下の地方創生」第2回を開いた。経営共創基盤の最高経営責任者(CEO)を務める冨山和彦氏が「地方創生 常識論の落とし穴」と題して基調講演した。
冨山氏は地方創生を進めるためには「地方の労働生産性や賃金を上げることが必要だ」と指摘。サービス業では最低賃金などを担保する労働規制の強化も必要と語った。
(日本経済新聞 10月7日)

地方創生の風景は立場によって相当違って見える。たとえば医療介護業界にとっては、医療介護を在宅中心に一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が、地方創生のテーマだ。観光業の場合、地方創生はインバウンド需要の取り込みであり、銀行にとっては融資機会の創出が地方創生である。

地方創生の全体を包含するテーマは何か。さる9月24日、日本経済新聞社が開いたフォーラム「官民連携と地域連携で実現する地方創生」で、野村総合研究所顧問の増田寛也氏はこう明言した。

「若者が定住し、人口維持に必要な2人以上の子供を安心して育てられる社会が今求められている。単なる地域活性化だけでなく、若い世代を主役にしたことが従来の政策との違いである。結婚と出産の障害になっている非正規雇用による低収入問題を解決して、若い世代が定住できる地域をつくることが今回の目的である」。

しかし企業の拠点展開は地方よりも、アジアに向かう時代だ。それもコストダウンではなく、市場開拓と有能な人材確保を目論んでアジアに向かっている。地方はアジア各国にどう対抗してゆくのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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