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室町東芝社長、人員削減の可能性を示唆

 
不正会計問題に揺れる東芝の室町正志社長は1日、毎日新聞などのインタビューに応じた。室町氏は半導体の一部不採算事業、冷蔵庫などの白物家電、テレビ、パソコンなどのリストラ策を11月初旬にも発表すると説明し、「場合によっては従業員対策も必要。どこまで踏み込むべきか議論している」と述べ、人員削減も検討していることを明らかにした。

同社は2015年4~6月期で営業赤字に転落するなど業績不振が鮮明になっている。室町氏は白物家電、テレビなどの事業について「今までも構造改革をしてきたが、(4~6月期の)決算が厳しい状況になっていることを重く受け止める」と語り、大胆な対応が必要との認識を示した。その上で、人員削減について「雇用の維持は経営者が考えるべき大きな課題」と述べながらも、「雇用問題になると労働組合との相談も必要になり、多少時間はいる。可能性はあるかもしれない」と語った。
(毎日新聞 10月1日)

経営悪化時に人員削減について問われれば、普通は「現時点では考えていない」と答えるものである。臨時株主総会の翌日に早くも東芝・室町正志社長が「可能性はあるかもしれない」と答えたことは、すでに計画に入ったことを示唆しているのではないか。

かりに人員削減が実施されたとしたら、決算偽装が発端だけに、関与した経営幹部は現役・OBとも人生を引っくりかえされるような責任を負うのが道理である。だが、刑事事件に発展しなかったので、退任・降格・減給・退職金一部返上などで着地するだろう。

ほとぼりが醒めたら、関連会社や取引先に移籍するというレールが敷かれ、平時に戻るという予定調和――現実はこんなものだ。
 

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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