2014/03/25
理研、STAP細胞の論文に「重大な過誤」と陳謝
【東京】理化学研究所(理研)の野依良治理事長は14日記者会見し、所属する日本人研究者が中心になって新万能細胞「STAP(スタップ)細胞」を作製したとする画期的な研究論文の2つに「重大な過誤があった」として陳謝した。
連日残念なニュースが続いている。STAP細胞で一躍時の人になった小保方晴子さんはネイチャー論文に続いて、そもそも博士論文もコピペ盗作に近いものであったことが明らかになった。小保方晴子さんは私の大学の同級生、凄い人がいたものだ!と感心していたのだが、本当に残念なことだ。
今後は不正疑惑について理研、大学、ネイチャーなど様々な観点から調査が行われるが、STAP細胞そのものが存在しなかったという最悪の結論にならないことを祈っている。
小保方さんは早稲田の博士課程を卒業後、博士後研究員としてハーバードに留学、そこでSTAP細胞の研究をはじめ、帰国後の2011年に理研に入所した。理研に限らず多くの独法研究所のポスドクはほとんど任期付きの非正規雇用になり、概ね任期は3年か5年程度である。小保方さんの任期は2011年~2014年/2016年までとなり、その間に何らかの成果を出すことが契約延長の条件となる。
ポスドクは「博士号を取得後に任期制の職に就いている人材」であり、企業に就職しなかった若手の研究者の多くが経験するキャリアパスである。理研や産総研といった公的研究機関、または大学の任期付きの研究員などを経験し、競争的資金制度などを活用して研究費用を獲得して自主的な研究を継続するか、企業に就職することで研究を継続する。但し、研究費を獲得できなかったり、任期終了後に契約延長や再就職が出来ないと失職することになり、我々のような人材紹介会社の求職者データベースにはポスドク失業中という方が少なくない。
なお、ポスドクの就職戦線は厳しい、しばしば話題に上がるポスドク問題というものだ。
シンプルに説明すると「ポスドクは増えたが、大学職員の仕事は増えない、そのため職にあぶれたポスドクが発生する」というものだ。
ポスドクの再就職先としては、①頑張って常勤の研究職を探す、②民間企業R&Dの研究者などに就職する(特定派遣会社経由含む)、③民間企業R&Dの補助員または分析センターなど専門機関に就職する、④メーカーのカスタマーサポートやメンテナンス、保守サービス部門に就職する、⑤非常勤の研究員の職を転々とする、⑥全く関係のない職種に転身するといったパターンが多い。
①、②は成功パターンである。派遣会社経由の場合にはそこで正社員に切り替わるケースもあるし、数年勤務して正社員として転職される方も多い。③はある程度年齢を重ねて30代後半になったが研究成果が花開かなかったり、市場性がイマイチで企業R&Dが関心を持たない研究をしていた方が行きつくことが多い。④は研究や分析調査よりもコミュニケーションや営業に近い業務にそもそも適性があったであろう方が多く、⑤は30代までは非常勤の仕事が見つかることが多いが、40代になると本当に苦しくなる傾向が強い。そして⑥はそもそも修士・博士に進学した際に「とりあえず就活が面倒くさいので進学した方」や、「研究テーマ探しをしている内に実は研究に関心がないことに気が付いた方」などが多い気がする。
私はポスドクではないので、「何を偉そうに!」と思われるかもしれないが、現在ポスドクの方へ伝えたいことは以下の通りだ。
・フリーの研究者(大学、企業の正社員ではない)というのは労働市場でも最もギャンブル性の高い職種である。30代前半くらいまでに凄い成果を出さなければ研究者としての道は開けない。そのため全力で現在のテーマに取り組んでほしい。(残酷なまでに大学で研究を続けることは難しい)
・大学に残ることをあきらめた場合には、大学時代のコネを総動員すると企業のR&Dへの転職は可能であり、研究室の先輩とは定期的に連絡を取っておくことが望ましい。
・再就職を行う場合には、人材紹介会社経由よりも直接求人企業への応募が望ましく(ポスドク採用に紹介手数料を払いたくない企業が多い)、企業HPに求人がなくても人事部にじゃんじゃん電話で問い合わせると意外と返事がある。自分の時間と費用は掛かるかもしれないが、苦労しても自分を売り込むことに集中してほしい。
・ポスドクが長くなると、教授に言われた実験をこなしたり、データを取ったり、本来の研究というより作業者的仕事に慣れてしまって「自分が何をしたいのか?」分からなくなってしまうことが多くなる。周囲の教授や大学職員、ポスドクを反面教師にすることも大切だ。
いずれにしてもSTAP細胞はあったのか?なかったのか?この点だけははっきりしてほしいものだ。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。