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シニア社員は覚醒する 企業は意欲引き出す後押しを

最近ネット上で「働かないおじさん」が話題になっている。勤務中に趣味のサイトばかりを見ているなど、サボる中高年を皮肉る内容の投稿だ。一部メディアで取り上げられ、「私の周囲にもいる」「単なる偏見だ」などとちょっとした論争になった。 「働かない」とは言い過ぎな面もあろうが、中高年社員について悩む企業は実際多い。パーソル総合研究所の2020年の調査によると、シニア人材の活用・活性化に課題を感じている企業は約5割に達した。モチベーションの低さを指摘する声が最多だ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD1923A0Z10C22A6000000/
(日経新聞 2022年6月21日)

シニア人材の活用というのは、以下2つが成立すると機能する。

1.上長が年齢関係なくマネジメントできるスキル・能力がある。
2.シニア人材はプレイヤーとして活用する。プレイヤーとしてのパフォーマンスで報酬が変動する。

残念ながらどちらも欠けているケースが多い。

どこの会社でもシニアポジションで取締役などに上り詰めるのは僅かな枠であり、ポストオフ以降は大多数がプレイヤーとして仕事をすることになる。この残酷な現実を早い所理解して職人としての腕をさび付かせないように仕事してきた人材はプレイヤーとしても非常に強い。

マネジメント側は意欲を引き出すというより、成果に応じて正しく評価することが大切である。意欲はあってもなくても良い、成果を出しているのか?このただ1点でジャッジした方が良い。
加えて放置は絶対NG、他の若手メンバー同様に普通に業務指示し、必要に応じて指導する、対応は変えないことが重要。

年齢関係なく、常日頃感謝すべき部分、尊敬すべき部分は伝え、不足している点、不満足である点もそのまま伝える。
この時に成果を出すためにどうするのか?という共通目標があるとマネジメントは機能するが、不明確だと老若男女問わず機能不全に陥る。
下手に遠慮もせず、当然高圧的な態度も不要。

加えて報酬制度がポイントだが、所謂排出系の仕組みをインストールした方が良い。年齢ではなく成果に応じて報酬が上下する、できるだけクリアな目標で、ボラも大きい方が良い。成果が出ないと自然排出効果があるかどうか?の検証を行い、極端に機能しないとアシスタント化する方がフェアである。

どんなバックグラウンドであろうとも、パフォーマンスが低ければポジションが変わり処遇も下がる、またその逆に年齢に関係なく処遇は上がり続ける、そういったシステムに乗り換えると年齢問題は概ね関係なくなる。労務的な現実解釈だと、不利益変更は厳しいので別会社運用は残しておいた方がベター。

三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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