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資生堂ショックから考える育児中の女性の働き方

2014年、資生堂が子育て中の女性の働き方を見直す「改革」に乗り出し、大きな波紋を呼んだ。いまだに、これに対する意見は賛否両論さまざまだ。賛成派、反対派、それぞれの思いとは。
資生堂は2014年4月に美容部員の働き方を見直し、子育て中も可能な限り夕方以降や土日の勤務をするよう求めた。会社の成長には、従業員の成長が欠かせない。なかでも美容部員は、繁忙時間帯である夕方や土日の勤務が成長につながるという。「育児中だから」と自己成長を止めることなく、キャリアアップする姿勢を会社が後押しするための改革だ。
同社は、育児中の女性を支援する制度が整い、女性に優しい企業として知られる。その資生堂が、女性を保護するだけではなく、より覚悟をもって働くよう発破をかける改革に乗り出したことで、働く女性たちの間に“資生堂ショック”が広がった。

物議かもす“資生堂ショック”「過剰な配慮より評価を」(AERA)

育児中の女性でフルタイム就業を継続する場合には2つの問題が横たわっている。

1つは「時間の制約」だ。
保育園の送り迎え、子供の病気、行事など結構な頻度で休みを取ったり、時間を区切って仕事をする必要があるのだ。
パートナー(夫)が送り迎えしっかりできたり、他の家族(両親など)のヘルプが受けられる幸福な立地に住んでいれば多少負担は低減されるが、そうでなければ時間は制約される。
そのため、しばしば時間の制約があると担当することが難しいと判断された仕事は回ってこずに、スキルや経験の蓄積ができない。これは事業主サイドの業務フローを見直すことによって、またはテレワークを積極活用することで解決可能なものも多い。労働力の足りない現在において経営者はクリアしなければいけない課題だろう。

もう1つは「キャリアの断絶」だ。
会社を辞めてしまうと、キャリアが断絶してしまい、その後の所得にも大きな影響が出る。そのため、稼いだお金のほとんどが育児費用などで無くなってしまっても、場合によっては一定期間赤字であっても、キャリアを継続するために職場に残ることが多い。

これは、児童保育の無償化と増園という国家行政の責任と考える。1億総活躍といって高齢者にばら撒きをする政権はやはり無能であり、この予算を育児世代に振り分けることが本来は望ましいのだ。
国会議員の大票田が高齢者であり、また議員自身も高齢者であることが多いので、こういった意思決定があるのだと思うが、与党の育児世代・現役世代の議員は本来は戦うべき事案であり、野党内からしか異論が聞こえないのは大変残念なことだと思う。

三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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