2014/06/03
先日リクルートの決算が出たのですが、リクルートのIR資料の中で目玉の一つとしてピックアップされていたのがIndeedでした。
私はIndeedのサービスについて「日本では単なるクローラーコピペ事業として何がしたいのかよく分からない」とまぁヒドくこき下ろしたのですが、その点についてIndeed Japanの竹内岳さんが「三上さん、Indeedは求人媒体ではなく、求人検索サイトなので、あんまりヒドイこと言わないでください。」とご丁寧に説明にいらっしゃいました。
Indeedのサービスについて随分理解が進んだので、企業人事担当、転職サイト運営会社それぞれの使い方について少し考えてみました。
まず、Indeedの根本的な理解なのですが、グーグルやヤフーと同じ「検索サイト」です。検索サイトでも求人情報に特化したものです。Greenやジョブセンスのような成果報酬型の求人広告サイトではありません。Indeedは求人広告サイトと比べると極めてpoorな(simple)印象を持ってしまいますが、検索サイトなのでそこにもこだわりを持っているようです。
日本市場ではどちらかというとエン・ジャパン、イーキャリアFA、ビズリーチ、Greenといった各種転職サイトの求人まとめサイトとして機能しており、集客課金も一定のボリュームがあるために、じげんの「転職EX」に近いビジネスモデルのようです。
日本市場でのユニークユーザーが月間350万人ほどあるようですが、これはググった結果として迷い込んでしまったネットサーファーも含まれるので、純粋なDirectユーザーは20分の1~40分の1くらい(月間7万~15万人くらい)であろうと勝手に想像しました。
同サイト内コンテンツは基本的には検索エンジンのクローラーが自動的に集めて来てリンク生成することになるので、半永久的に増え続けるわけです。ただ考えてみると、求人企業が10社程度のエージェントに案件依頼をして、エージェントが自社サイトおよび各種提携サイト4つに当該案件を掲載すると、10社×5サイト=50件の同じ内容の求人がネット上に生成されることになります。クローラーがそれを単純に集めるとコンテンツかぶりまくりな状況が生まれてしまいます。この点はアルゴリズムで排除するのでしょうが、転職サイトごとに掲載項目が異なるために、上手いこと反映させないと、同じ情報が複数サイト内を彷徨うことになってしまいますね。
なお、Indeed内でオリジナルな求人も掲載可能ですが、これらは画像のようなテキストベースのものになります。検索サイトと同様にリスティングで上位表示などは出来ますが、GoogleやYahooと比べると、費用はかなり安い印象を持ちました。
まずは企業人事担当にとっては、自社HPの求人ページに直リンクをすることで、自社HPと求人のPRが可能になります。この点においては比較的大規模な会社で多くの公開求人を持たれている会社にとっては相性の良いサービスになるかもしれません。採用コストを考えた場合、自社サイト応募者はエージェントを使う場合と比べて格安ですし、求人広告サイトと比べても格安に抑えることが可能になります。
次に転職サイト運営会社にとっては、ユニークユーザーがそこそこいる検索サイトですので、純粋なサイト集客としての価値はあるかもしれません。求人情報の「まとめ」(転職サイト)の「まとめ」(クローラーサイト:転職EXなど)のそのまた「まとめ」というポジションであり、またSEO的にもGoogleやYahoo検索に多少の影響はありそうなので、一定の投資価値はありそうです。
これまで求職者が転職サイトを活用する際には、求人情報が多数のサイトに散在するため、自分の希望する求人情報を見つけ出すために、検索サイトで何度も検索をしたり、転職サイトで条件を絞り込んで検索する手間と時間がかかっていました。
一方で求人サイト運営企業は競合の乱立により広告掲載単価が下がり(もしくは成功報酬モデル化し)、SEOやリスティング費用が高騰しユーザー獲得コストが上昇し、収益が圧迫されてきました。
クローラ型の求人サイトは、複数の求人サイトの情報を”まとめ”ることで求職者の検索の手間を省略することを可能にしました。同時に、個別求人サイトへの集客にも一役買うことで集客事業としての成功を収めつつあります。
クローラー型の求人サイトは日本では発展途上の状況ですが、じげんの転職EX、リクルートが2007年に買収したジョブダイレクト(Indeedとどちらも展開している)、ソフトバンクヒューマンキャピタルの仁王など複数のサービスがあり、一定の存在感が出てきています。
リッチコンテンツ化する転職サイトに対してシンプルなクローラー型サイトのコントラストは非常に興味深く、今後もwatchを続けたいと思います。
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