クラウドソーシングサービスを提供するランサーズは、東京都内で新事業戦略発表会を開催し、パートナー企業に同社の会員データベースを公開する新サービス「Lancers Open Platform」を発表。2014年度中にパートナー企業を100社まで拡大させ、毎月1億円の受注を目指す。(ベンチャーニュース 8月13日)
今年7月には協会が発足するなど、クラウドソーシングがいま活況を呈している。
そもそもクラウドソーシングとは、インターネットを利用して社内作業の一部を外部に発注するというサービス。いわばアウトソーシングの発展形といえるが、専門の仲介業者を介さないため低コストで、なおかつネットならではのスピードが活かせるなどメリットが大きい。その恩恵は、クリエーターやエンジニアだけでなく、これまで社内でさまざまな事務作業を担ってきた在宅主婦、さらには親の事情でやむなく介護離職をした中高年の元・サラリーマン層にも仕事の場を広げている。
同記事にもあるように、クラウドソーシング業界は「2014年8月の時点で同社のサービスに登録している会員数は36万6000人、クライアント数は9万1000社」となかなかの成長ぶりである。
ただし、「49億円の依頼総額に対して、最終的に契約に至った金額は10%以下の4億5000万円」にとどまっているなど、成約率の低さが問題となっている。
その原因は、客先の要件定義が明確ではなく、このため受け手も自分の専門性を生かせるかどうかがわかりにくい、という点が指摘されていた。そこでLancersが提案した新しいサービスが、Lancers Open Platformだ。その内容は、まず会員である客先企業と個人の情報を、同社が認定するパートナー企業に公開する。パートナー企業は、客先から提示された作業内容と受注側のスキルを相互参照することで、業務と能力のベストマッチを実現しようとするというものだ。これが上手くいけば、クラウドソーシングの世界はより一層の発展を見せるはずで、大いに期待したいところではある。
ところでこうした発注側と受注側の調整は、従来は代理店などの仲介会社が担ってきた。
またそれらの仲介業者は、作業内容と人材の確保・調整だけでなく、金銭問題や人間関係に関するさまざまなトラブルに対しても、双方を代行して処理に当たる役割を担っていた。
クラウドソーシング・ビジネスは、インターネットを介することで、つまりこうした仲介会社を中抜きすることでより、コスト低下やスピードアップを実現したわけだが、ここに来ていつくかのほころびを見せてきたといえるだろう。
つまり単なる案件の紹介だけではなく、かつて仲介企業が担当してきたさまざまな調整機能をネット上で実現する必要が出てきたのだ。では今後、クラウドソーシング会社が、発注側と受注側の間に発生しうる業務的、金銭的、さらには属人的なトラブルに対して、代行して事前事後の解決に当たることができるのか? できないとしたら、その役割は誰が担うのか?
そうしたさまざまな問題が、まだ生まれて間もないクラウドソーシング業界における大きな課題となる日は決して遠くない。しかしそうした問題を解決できた先にこそ、より多くの人に満足をもたらすビジネスが生まれてくるのだろう。
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