2013/07/02
さて、インターンの池田彩衣さんが来る就活に向けていろいろな業界纏めをやっており、CRO業界についてかなり面白い分析をしてくれました。
彼女が行っているのは上場/未上場に関わらず各社の売上/利益の比較や、過去3年の成長/衰退の原因の検討、市場成熟度の把握などです。
これはどの業界でも同様の手法で企業比較ができるので、是非他のインターンの皆さんにも担当してもらおうと思います。
※表をクリックすると拡大します。
CRO業界って上場会社が少ないので、ここまでマニアックに分析した人は少ないのではないかと思います。
1.業界全体の過去三年分総括
売上は三年連続上昇、一方利益は三年連続減少。製薬メーカーの臨床開発業務のアウトソーシング比率は以前高いままであり業界全体の売上はまだまだ成長している市場です。但し、利益が下がっているということは単価が下がっているのか、または新日本科学の大赤字が響いているのかもしれません。
2.勝組はどこか?
今回の調査では分からなかったのでパレクセルとクインタイルズの数字は反映されていないのですが、この2社に加えてシミック、イーピーエスの4社はその他の多くの会社と比べても高いレベルで売上/利益が安定的です。
大手4社以下に着目すると、メディサイエンス、DOTインターナショナルは売上、利益ともに三年連続上昇しています。メディサイエンスはシーポックの買収など積極的な事業投資を行っており、DOTは医療機器治験の受託を開始、新規事業が成功している模様。
これ以外に大きく利益を伸ばしたのはインクリース研究所です。クリオサイエンス傘下、売上の推移は横ばいであるものの、新規事業としてタマネギ外皮を有効利用してケルセチン組成物を抽出するビジネスを神戸大学と連携して事業化しており、ひょっとしてこれが成功したの?かもしれません。
3.負組はどこか?
新日本科学、MICメディカル、イベリカホールディングスの3社は三年連続で利益が大幅に減少しています。
新日本科学は前臨床の需要低迷、加えて新たな収益源として期待した創薬型のビジネスがこけており、売上108億円に対して損失が59億円と大変なことになっています。
MICは大規模プロジェクトが予想よりも早期に終了、東日本大震災で予定していたプロジェクトが遅延したことがマイナス要因、またベテランCRAが大量に退職し、その補完のために新卒採用と教育投資がかさんでいる模様。上場廃止、エムスリー子会社となり再起を図っているが、資本関係のあるメディサイエンスとその内一緒になるかもしれません。
イベリカホールディングスは情報少なく、いったいなぜこんなに収益悪化しているのか分かりませんでした。
4.大手に収斂、中小は専門特化が進む
これは完全に私見ですが、今後は大手3社+利益好調メディサイエンス+伊藤忠がバックのアクロネットを中心に中小の買収により更に業界が収斂していきそうです。中小企業はナイフィックスのように抗がん剤特化型や、CACエクシケアのようなITを絡めた事業展開を行う企業は生存できそうですが、CRAの人数で競争している会社は体力が持たなくなってくるかもしれません。
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