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高齢者雇用が若者の雇用を奪うのか?

現在ジーニアスでは学生インターンを募集しています。学生を安価な戦力として捉えてテレアポばっかりやらせる営業会社や、社員さながらの締め切り順守な開発にぶちこむアプリ会社のような”よくあるブラックインターン”ではないので、想定以上に応募者が多いなーというのが最近の感想です。

今日も将来の夢を語る二十歳の学生(あーもう僕も年を取りました)と面接をして、彼の未来を明るいものにするためにも労働市場をより弾力的に活用できるようにデザインしなくてはいけないな、と思いを強めたわけです。

さて、今日のテーマは「高齢者雇用が若者の雇用を奪うのか?」です。定年制度を延長したり、そもそも制度そのものを廃止すると、高齢者がいつまでも会社に残って若者の雇用が失われるのではないか?という論調は、さすがに日経、朝日、毎日などの新聞では見かけませんが、雑誌やTVではこのテーマをよく見受けられます。

確かに日本には毎年70万人の学卒者(且つ就活する人)がいて、代替85‐90%の人が新卒入社しているので、10-15%(約8-9万人)の学生は新卒で就職できていません。また文科省発表だとフリーターは180万人もいて、この議論には無関係だけど新卒ニートも3万人います。

ただ、よく考えて頂きたいのは、それを上回るスピードで高齢化は進み、同時に労働人口(就業者総数)は減少局面にあるということです。世の中にはいろいろな試算がありますが、リクルートワークス研究所のレポートだと、2020年には労働人口は今より200万人以上減少します。これを残り6年で割ると1年間で平均33万人の労働力が減少することになります。

この33万人という数字から考えると、8-9万人の新卒内定無の学生の雇用は高齢者によって奪われているわけではないことは数字の上でも納得できるのではないでしょうか。

そして、どちらかというと若者も高齢者も女性も外国人もみんなが働いていかなくては日本の資本主義経済は支え続けていくことが難しくなるだと私は考えています。

もちろん誰でもできる仕事についていえば、日本人の若者と高齢者が奪い合うというより、もっと単価が安く同様の役務が提供できる地域や国にアウトソーシングされることで仕事そのものが日本から消滅することはグローバル化の宿命です。

ただ、「高齢者雇用が若者の雇用を奪うのか?」というテーマでいうと、「それは違う!」ということを、もっと多くの方に理解してもらいたいと考えた昼下がりでした。

三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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