2013/04/25
昨日は女性の活用について考えさせられる一日になりました。猛烈に女性の活用を推進したいのだーという人に久しぶりに会ったからです。
ちなみに私は基本的には男性も女性も外国人も高齢者も関係なく、企業内にある人事リソースの価値を最大化するにはどうしたらよいか?を追求することが重要と考えています。
そのため女性が働きにくい職場というのは、男性が働きやすい訳でもなく、皆にとって不便で非効率な職場なので、そもそも変えないといけませんね。
さて、今日は「積極施策がネガティブ効果を生むのではないか?」という懸念がテーマの投稿です。
働く女性に手厚い支援 首相「育児休業3年」表明
安倍晋三首相は子供が1歳半になるまで認められている育児休業を3歳まで延ばし、5年間で待機児童ゼロをめざす方針を決めた。19日の経済3団体トップとの会談で協力を要請する。少子高齢化に伴う労働力人口の減少に歯止めをかけるのが狙いだ。仕事と子育ての両立に悩む家庭には朗報と言えるが、実現に向けて給付負担や企業のコスト増大などの課題を克服する具体策が問われる…
この報道を見た時に、日本人の98%は中小企業で働いているのに、中小企業の現実を分かっていないなーという感想を持たれた方は多いと思います。
この政策は「国民の圧倒的多数が働く中小企業において、育休取得後に3年間戻ってくるかどうかわからない女性を雇いますか?」と経営者に問うているのです。
定年65歳のような強制的に適用するものになるのか、単なる努力義務規定なのかは別として、私は今回提案されたポジティブアクションは結果的には女性の活用には繋がらないと考えています。
余り印象の良いコメントとは思いませんが、3年間もビジネスの世界から離れてしまった方を悠長に待っていることができる会社はほんの一握りであり、圧倒的多数の中小企業はそのような余裕を持ち合わせていません。
そのためこの政策が施行されると、中小企業はそもそも女性総合職を採用せずに、ますます男性を採用することになりそうだと感じました。
M字カーブそのものは解消されそうですが、採用される最初の入り口がそもそも小さくなってしまい総数は減ってしまうので、元来の目的である「女性の活用を推進する」ことには帰結しないように思うのです。
* M字カーブ:結婚・出産・子育て期に仕事を中断することによって30歳代で女性の就業率が落込む現象
現状の職場復帰にまつわる最大の問題点は、保育園が少ないこと、特に残業がある企業で働く母親の生活に適応した”子供を預かる機関”があまりにも少ないということです。非常にシンプルですが、もう30年以上も放ったらかしにされてきた重いテーマです。
私は道路や飛行場作らないで、保育園をたくさん作り、小学校も小規模学級を推進し規模縮小でも廃校にせず、学童保育もますます充実させて20時くらいまで子供を預かれる環境を提供するだけで、相当多くの問題は解決できると思います。
もちろん企業側でも更なるテレワークや労働生産性を上げ残業を減らす取組は続けていかなくてはいけません。
働く母親が本当に時間的に制限されてしまうのは、実はキャリア全体で考えるとわずかな期間です。その期間を全力で支えられるような労働政策とハコモノ行政をセットにしたアイデアが出てこないことは、本当にもったいないことだと思います。
3年も育児休暇を取得せずとも1年―1年半で復帰して、育児をしながら働き続けられる社会にしなくてはいけませんね。
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