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医療系人材紹介について思うこと、なぜかフィーが安い。

医師イメージ医師、看護師、薬剤師、、、最近医療系に特化した人材ビジネスを行う会社や、大手企業が専門子会社を作る動きが加速しています。
メディカル領域は景気変動の影響をほとんど受けないこと、一定の流動性が常に担保されていることから、人材紹介の業界別セグメントでは安定感のある領域です。
この領域ではSMSがいち早く事業を展開しており、先行者としての利益を確保しつつあるようです。
ただ、そんなSMSでさえ売上高10,181百万円/営業利益1,570百万円であり、これはテンプHDの売上247,232百万円と比べるとずっと小さいサイズになります。
リーディングカンパニーのサイズを踏まえると実はまだまだ未成熟な領域であることがよく分かります。

さて、そんな医療系人材ビジネスですが、今日はそこで起こっているちょっとした問題についてコメントします。
医療領域は紹介手数料が何故か相場(通常の人材紹介の成功報酬手数料は決定年収の30%程度)と比べて、安いのです。
東京周辺で25-30%、その他大都市圏で20-25%、地方に行くと固定30-50万や15-20%で契約しているケースも見受けられます。
同じ人材紹介なのに、どうしてフィーがこんなに違うのか?不思議に思って一時期調べてみたことがあります。

歴史を紐解くと、この領域のスタートは「医師の紹介」と言われています。
人材業界を巡る裁判でも最高裁まで行った珍しいケース、東京エグゼクティブサーチ事件の舞台は病院でしたが、この時も医師紹介の手数料で裁判が行われています。
医師の年収水準は日本国民の平均と比べると非常に高く2000-3000万円を超えることも珍しくありません。
そのため成功報酬の料率が一般企業よりも低くても、フィーそのものは高く確保できるため、対病院の基本契約として一般企業と比べて低い料率が採用されたのだと思います。
そして医師と比べて年収が1/4,1/5の看護師や薬剤師についても同じ料率で行う紹介会社が登場し、このような相場が生成されたのだろうと考えています。

私のクライアントでもこの医療領域の人材紹介、派遣を行う会社がいくつかあるのですが、儲かっている会社とそうでない会社に二分されます。
儲かっている会社は、低い料率のクライアントとは取引終了し、通常の人材紹介の相場で契約できる病院との取引に注力されています。
逆にそうでない場合には、単価が安いために、利益水準がいつまでたっても追いついてこない悪循環に見舞われています。

病院はどこも人不足、売り手市場の権化みたいなマーケットですので、当然といえば当然の意思決定ですが、一時的に顧客基盤を失い、新規の営業に注力する必要がありますので、この意思決定をされた方は大いなる覚悟を持って決断されたんだろうと感じました。


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三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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