2013/04/23
健康保険組合連合会(健保連)は22日、大企業の会社員が加入する健康保険組合の2013年度予算をまとめた。全1420の健保組合の8割強が赤字で、経常赤字の額は4573億円。支出増に備える積立金は07年度末に2兆8千億円あったが、13年度末には9700億円まで減る。2年程度で積立金が枯渇する恐れがある。
日経新聞の記事を見て、やはり現状の健康保険制度では、増え続ける高齢者医療費を負担し続けることは困難だと感じられた人は多いと思います。
健保は基本的には労使で折半していますので、現役世代と会社がOBの医療費を負担しているという構図です。
負担に耐えかねて行き詰まった健保組合は解散を選び(西濃運輸や京樽は既に解散済み)、協会けんぽに統合されていきますが、今後ますますその流れは加速すると思います。
さて、その医療費については賛否両論ありますが、「減らすしかない」というのが基本的なコンセプトです。
ジェネリック医薬品比率を上げることや、医療機関の情報連携(IT)を進めて重複診断や投薬を解消すること、そもそも高齢者の医療負担割合を増やすこと(現状は70~74歳の窓口負担は1割)など様々な取り組みが進められています。
そんな中で「オーソライズドジェネリック」という大変興味深いカテゴリーが生まれつつあります。
GE国内大手の日医工がサノフィと組んで特許切れ前の新薬をGEとして販売を予定しています。
特許切れ前 許可受けAG薬 日医工が国内初販売へ
通常製薬メーカーは特許切れ前にわざわざ価格の低いGE薬品に当該製品のカテゴリーを移すことはしてきませんでした。
ところが近年は新薬開発の難易度が増し(そもそも新薬が出てこない)、GE市場も拡大を続けていることから、広大なGE市場のシェアを確保することで、中長期の製品ライフサイクルを確立する動きが出てきているのです。
確かに、特許有効期間中に他のGEメーカーに先んじて市場に製品を投入することができるので、参入障壁は高く先行者利益を享受できる仕組みです。
しかしながら、同時にあらかじめ確保している新薬と同じ成分で低価格の製品を市場に流通させることは短期的な収益悪化につながりますし、そもそも該当新薬は売れなくなります。またオーソライズドジェネリックの投入により、新薬が長期収載品となり薬価も下落することになります。
そういったことを全て承知の上で日医工とサノフィはオーソライズドジェネリックという勝負に打って出るのです。
オーソライズドジェネリックが増えると、上述の健康保険制度の医療費抑制にもつながりそうです。
ジェネリック市場の拡大が意外なところでプラスの効果をもたらしている興味深いニュースです。
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