ABCマート 違法長時間労働の疑い 書類送検へ
全国に展開する靴の販売店、ABCマートが従業員に違法な長時間労働をさせていたとして、東京労働局過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」は、労働基準法違反の疑いで2日にも運営会社を書類送検する方針を固めました。
「かとく」は、いわゆるブラック企業対策のため、ことし4月に発足した組織で、送検を行うのは今回が初めてです。
関係者によりますと、靴の販売店のABCマートは、去年、東京都内の2つの店舗で従業員に事前に労使で決めた残業時間を大幅に超える違法な残業をさせるなどしていた疑いがあるということです。
過去にも複数の店舗で労働局の指導を受けていましたが、改善が進んでいないということで、東京労働局過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」は、東京・渋谷にある運営会社の「エービーシー・マート」や役員らを2日にも労働基準法違反の疑いで書類送検する方針を固めました。
エービーシー・マートは、全国に靴の販売店、およそ800店を展開し、グループの売り上げは年間2000億円を超えるということです。
取材に対して「担当者と連絡を取っている」として、これまでにコメントは出していません。
「かとく」は、厚生労働省がいわゆるブラック企業対策のためことし4月、東京労働局と大阪労働局に設置した組織で、影響力の大きい大企業に絞って調査を進めていますが、書類送検を行うのは今回が初めてです。
会社「再発防止の措置講じた」
エービーシー・マートは「このような事態に至ったことは誠に遺憾で、お客様や株主の皆様に多大なご心配をおかけしたことを深くおわびします」としたうえで、「残業時間の削減や抜本的対策に取り組み、すでに労使協定の上限を超える長時間労働は解消し、再発防止のための措置を講じています。今後もコンプライアンス順守に万全を期すべく全力で取り組んでいきます」とコメントしました。
遂にブラック企業対策の特別機関「かとく」が動き始めました。書類送検第1号はABCマート、違法な残業が摘発されています。
「ブラック」のレッテルが貼られた企業のダメージは非常に深刻であり、居酒屋チェーンのワタミは失速し赤字転落で縮減傾向が顕著になり、牛丼チェーンのゼンショーも買収を重ね外食NO1の地位に上り詰め絶好調でしたが、「ワンオペ」摘発以降は急激に成長がストップしています。既存従業員のロイヤリティの低下による離職が増え、店舗が運営できなくなってしまう事態に発展することが現実に起こっています。
報道ではABCマートでは「過去にも複数の店舗で労働局の指導を受けていましたが、改善が進んでいない」とあり、初犯ではなく、違法残業が常態化していたことが想像されます。なお、アパレル産業、外食産業では摘発されたABCマートだけではなく、今回のような事案は他の事業者でも発生しているように感じます。
巨大流通チェーンのイオンやセブン&アイ、電気量販店のヤマダ電機やビックカメラ、アパレルのファーストリテイリングやしまむらなど多店舗展開している小売業では、背筋がゾワゾワしている人事部員も多いのではないかと考えます。
店舗の開け閉めは巨大流通チェーンにとっては些細な事案ですが、長時間労働による労働者の体調不良はすぐに治ることは無く、一生引きずるケースもあります。
今後はこれまで以上に従業員の労務管理に対して繊細な対応が求められます。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。