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テンプスタッフのインテリジェンス買収について思うこと

http://www.nikkei.com/content/pic/20130326/96958A9C93819696E0E7E2979F8DE0E7E2E1E0E2E3E19F9FEAE2E2E2-DSXDZO5321644026032013MM8000-KB3-6.jpg3月末の大イベントでしたので、既に乗り遅れているだろうという意見はあると思いますが、人材業界にいる者としては触れない訳にもいかないので、今日のブログは「テンプスタッフのインテリジェンス買収について思うこと」です。

既に多くの報道によって皆さんご存知だと思いますが、人材サービス大手テンプホールディングスは3月26日にインテリジェンスホールディングスを買収すると正式発表しています。買収費用は約510億円、KKRを中心とした既存株主から全株取得しています。

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テンプにもインテリにもお世話になった方が大勢いらっしゃるので、何だか意味深に捉えられてしまうと困るのですが、私は凄く良い合併になることを期待しています。

人材業界にいらっしゃる方は皆さんご存知だと思いますが、テンプもインテリも創業者が猛烈なスピードで築き上げた元ベンチャー企業であり、時代を読み、派遣・紹介・OPを展開、人材業界の総合企業として拡大発展してきた歴史があります。
また、両社に共通するのは、テンプは東証一部上場、インテリも元々は上場企業であり、ややブローカーちっくな臭いも無きにしも非ずな人材業界において、経営の透明度が高い、誠実なキャラクターであるということです。(インテリは一時期大量採用した新卒をUSENの回線営業部隊に出向させたりして社内の評判の悪い時期もありましたが、、、)

一方で私が若干気になっていることもあります。それは農耕民族が狩猟民族をマネジメントできるのか?ということです。
記者会見でも、テンプがインテリを買収するのは「人材紹介に強く、我々にはないノウハウを持っている」(テンプの篠原欣子会長兼社長)というコメントがありました。派遣売上8割のテンプが、紹介事業に強いインテリを買収した理由は、「紹介事業を伸ばしたいという」実に分かりやすいものですし、当面は現在のインテリの経営陣は留任、マネジメントを任せるのだと思うのです。
しかしながら、異業種の方から見ると同じに見える人材ビジネスですが、派遣会社と紹介会社は農耕民族と狩猟民族、ストックビジネスとフロービジネスであり、根本的な思想が異なります。私はテンプとインテリの結婚の成功は、できるだけお互い干渉しあわないこと、餅は餅屋で運営を続けられるかどうか?に懸っていると考えています。

もう少し具体的に言えば、テンプにはテンプスタッフキャリア(現キャリアカンパニー)という人材紹介部門がありますが、ここにインテリを統合するようだと暗雲が立ち込めます。リクルートやパソナ、JACからは拍手喝采を浴びるはずです。こういうことを書くとまた怒られそうですが、テンプのキャリアカンパニーよりもインテリは事業として成功しており、経験豊富な社員やノウハウもお持ちです。また、もっと怒られそうですが、人材育成というテーマだと派遣事業よりも紹介事業の方が難易度が高く、買収後のPMIに失敗して人材流出した場合の損失は、テンプの方の想定以上になるはずです。

私は買収会社の経営陣をチェンジしたり、不振事業部の責任者を外部招へいするような仕事に多く関わっていますが、経営陣をチェンジすると約6ヵ月は経営計画がストップして、その間に幹部社員が流出し、その後の展開の致命傷になるケースもあります。「それを覚悟でやりますか!?」で仕事を引き受けるのですが、本当に致命傷になってしまうこともあります。
「お前が言うなよ!」と突っ込まれそうですが、買収の目的は経営権の奪取や旧経営陣の更迭ではなく、双方が事業を発展させることです。そのためにはお互いの文化や違いを知る一定の準備期間が必要であり、早急な人事や組織の変更はグッと我慢する方が成功打率は高いと思います。

いずれにしても人材業界は今年来年で、第一世代のガリバーによる国内外の同業の買収が相次いで、業界図が大きく塗り替わる予感がします。


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三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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