2015/03/20
2015年3月期第3四半期の累計実績は、前年度の同期に比べて売上高が7%増、営業利益は22.8%増となりました。各地域・国別に合わせた販売・生産戦略が行われ、実際海外における売上・コストダウンの取り組みが全体利益の上昇につながったと言えます。
住宅用製品は、夏場の気候不調により前年同期比で18%減少しました。業務用製品に関しては、消費税の増加で需要反動が減少要因としてありましたが、政府の省エネ投資施策により、前年同期と比べても減少幅は小さく収まっています。
ダクトレス※は、グッドマンの販売網の活用、人材の教育など販売力の強化により、住宅用・業務用ともに大幅に出荷台数が増加しています。
ユニタリーに関しては、きめ細かい販売施策に加えて、省エネ規制の引き上げによる需要拡大が大幅増につながっています。
景気の減速により、政府・大手の不動産物件が低調という背景がありましたが、一般住宅市場・業務用街売市場での販売に注力したことが、前年同期比よりも伸びた要因としてあります。
住宅用に関しては、EU経済の快苦負の遅れ、南欧の冷夏の影響による天候不順が伸び悩んだ要因としてありましたが、暖房事業は環境規制強化による需要拡大があり、フランスを中心に伸びを見せました。
ダイキン工業は、数多くの日系企業の中でもいち早く海外進出に成功し、成長し続けている企業であると言われます。上記を踏まえ、その成功要因を2点挙げたいと思います。
1点目は、徹底にローカライズされた販売・生産戦略です。専売店での購買を好む中国人向けの「プロショップ」設置、デザイン性を重視した欧州向けの製品などがその例です。このようなきめ細かい戦略により、各地域の異なる政治情勢や景気、不規則な気候など、売り上げを阻害する要因が存在するにも関わらず高い売上高・利益を上げていると考えられます。
2点目が、高い技術力に基づいた省エネ製品に注力していることです。日本国内はもちろん、海外の最も大きな市場のアメリカでは、国家的に省エネ税制が導入されており、省エネ技術に優れたダイキン工業の製品はランニングコストを含めたトータルコストで価格競争力を持っています。ダイキン工業は、高付加価値商品ラインナップを充実させており、高い収益率を達成しています。
2012年3月期から2014年3月期まで、国内単体の従業員数には変化がありませんでした。一方で、連結では44,110⇒56,240人と大幅に増加、これは米グッドマン社の買収の影響です。平均給与は600万円代後半であり、エアコン同業のパナソニック(691万)、富士通ゼネラル(699万)とは同水準、日立製作所(827万)、東芝(811万)、三菱電機(746万)と比べると低く、シャープ(600万)よりは高いということが分かりました。
売上の大きな部分を占める海外市場で厳しい情勢が見える中、3ヶ月を残している時点で既に8割近く営業利益の目標・予想を達成していることが分かります。現在(2015年3月の中旬)も円安が続いており、目標の数値達成は可能であろうと思います。
今回、ダイキン工業に関するレポートを作成する中で学んだことを何点か記載いたします。
まず1点目は、空調・エアコンが主力商品のため、季節や気候による変動要素が非常に大きいという事です。例年よりも夏が涼しかったという理由で販売台数が前年比マイナスとなった欧州がそのわかりやすい例です。
2点目は、円安による為替効果がとても大きいことです。但しM&Aを積極的に進め、海外に調達・製造拠点を移管しているため、そのインパクトも徐々に減少していくことがうかがわれます。
3点目は、海外進出戦略で成功するには、地域別にセグメントを分けて、徹底した戦略立案・実行をする必要があるということです。ダイキン工業は国内の営業利益を海外のそれが上回っています。日本の高い技術力をベースに省エネなど特徴のある製品を開発し、地域に合った販売戦略を実行してきた結果であると言えます。せっかく良い製品があっても世界的な知名度が低くなかなか事業が拡大しない企業が多い中で、ダイキン工業は素晴らしい成功モデルと感じました。
4点目は、積極的なM&Aは国際事業を展開する上で成功のキーになっていることです。ダイキンはアメリカGoodman社を買収しましたが、これにより北米事業は成長が加速し、住宅・業務用ともに130%の成長を実現しています。
今後の競合相手と戦略の予測について述べたいと思います。これまでのダイキンの競合は、米国のキャリア社(Carrier)、トレイン社(Trane)など、価格レンジではミドルクラス以上が中心の会社でした。
特に業務用などで省エネ技術の革新を進め、高付加価値商品に力を入れることが差別化ポイントとなっていました。しかし、今後は中国のGree社(格力)、Midea社(美的)などを強く意識した商品企画、販売戦略が必要になると思います。
これらの会社はローエンドで大量生産してボリュームで稼ぐモデルから、徐々にミドル以上の商品ラインナップも増やしており、今後脅威となることが予想されます。
最後に-
私は韓国出身で日本の大学に留学中、昨年はアメリカの大学にも交換留学を経験しました。自分のバックグラウンドを生かしてグローバルな事業を推進できる会社に就職したいと考えています。今回は、日本の製造業、特に海外戦略で成功しているモデルとして興味深いリサーチができました。今後もいくつかの企業のリサーチを行う予定です。
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