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オープンソースと人工知能と人材ビジネス

人工知能とHR領域

少し前からHR領域×人工知能領域がホットなテーマとなっている。

年初に見たNHKスペシャルで人工知能特集「Next World わたしたちの未来」では、弁護士事務所が社員の評価に人工知能を活用していたり、フィクションだが婚活、仕事選び、あらゆる生活に人工知能が使われる世界を見た。

また、すでに勃興?HR×人工知能領域サービス7選!という記事でも確認したが、人工知能を活用したHR領域の企業は既に相当数存在しているようだ。日本ではどのような取り組みが行われているのか少し興味があり調べてみた。

レコメンド型とソーシャルデータ連動

talentbase現在既になんとなく人工知能っぽい機能を搭載しているHRサービスは少なく2つだった。ビズリーチのCareertrekとブレインパッドとアトラエがローンチしたTalentBaseだ。

Careertrekはレコメンド型の求人サイトであり、登録時に20項目の質問(収入、企業規模、成長性、離職率など)、最終学歴、生年月日、最終就業先企業名、職種・業種の経験年数を記入すると、その情報に基づいて人工知能が毎日最大10案件をおすすめ求人として表示するものだ。レコメンドエンジンは既に多くのECサイトなどでは活用されており、これを援用した形だと思う。

現状リクナビやDODAはCRMが強いとは言えず、とりあえず粗い属性分けに基づいてメルマガを大量にばら撒く状態である。そのためCareertrekの20項目の質問に応じて人工知能がおすすめ求人を紹介するという機能は多少の差別化にはなるのかもしれないが、掲載求人を見る限りは他の転職サイトに掲載しているものも多いため、ユーザー体験としては、粗い属性分けのメルマガとあまり変わらない印象だ。

また職歴書などを登録して求人企業からのスカウトを待つ機能なども備わっており、むしろこちらがメイン(人材紹介会社向けの公開DB機能)だと推測している。登録の簡素化とマーケティング上の理由(「人工知能」ってなんとなくホットなので)で人工知能を前面に出しているのかな?と感じた。

次にTalentBaseだが、これはまだサービスローンチ前のようでユーザーとしてはあれこれいじることができなかった。テッククランチの記事(「TalentBase」はソーシャルデータと人工知能でイケてる人材を発掘する)を見ると、Facebook、Twitter、LinkedIn、GitHub、Qiitaの5つのソーシャルデータから、「ソーシャル」「ビジネス」「技術」の3項目でスコアを算出するということだ。

ソーシャル活動をしている人材はリーチできるものの、恐らくそれ以外の領域はあまり期待できなさそうだ。
経歴詐称(正確性)も見分けられないので、フェイスブックにとりあえず「MIT卒業で弁護士資格保有する某戦略ファームのパートナー的なこと書いておけばいっぱい連絡くるということなのかな?」とか「実績は3割増し、まぁ自分はメンバーだったけど責任者ってことにしておくか!」という悪魔なささやきが聞こえた。
加えて外部に自ら情報発信していなければスコアに反映されないようだと、プレゼン上手で自己アピールの高い人の異常値に悩まされそうな気がした。いずれにしてもサービスローンチ前、いろいろ機能改善されるでしょうな。

こんなサービスあったらいいのに!

皆さん余りご存知ないかもしれないが、エグゼクティブサーチやヘッドハンティング会社では独特のデータベースが蓄積されている。個別案件ごとに作る場合もあれば、業界特化型で作る場合もあるのだが、概ね4つの情報ソースから集約された情報をデータベース化している。

4つの情報ソースは、①名簿会社の情報、②転職サイトなどの登録情報、③SNSやググって調査可能なオープン情報、④業界特性のクローズドなデータベース、これは金融ならBloombergやReuters、技術なら特許や論文データ、組織情報であれば日経テレコンなどで構成されている。
ヘッドハンティング会社がターゲットとする年収1000-5000万円くらいのステージの方だと4つの情報ソースからあれこれ情報を持ってくると、(ほぼ勝手に)履歴書・職歴書相当のものが完成し、この情報をクライアントとすり合わせてターゲットを決めていくのだ。
そして多くは直接会社宛に、丁寧且つ本気度が高い案件の場合は、さらに⑤調査会社(要は探偵)を使って、ありとあらゆる情報を取得し、だいたい個人の携帯電話やメール、自宅あての手紙などでアプローチが来るのだ。

業界特化型の会社だと、各組織の課長以上のデータベースを持っていることも多い。内部に協力者を作ったり、退職者からの情報も活用しながら作成し、随時UPDATEしているケースもある。

ヘッドハンティング会社では基本的に労働集約型でこのデータベースを作っており、私も前職では随分とこのリサーチといわれる仕事をしていた。もっとも途中で何度も投げ出したくなり、「俺がエンジニアだったら、アルゴリズム組んでクローラー走らせて自動化しちゃうんだけどなー」と嘆くことも多かった。

リサーチ業務に完全に没頭していた頃からもう7年も経っているが、未だにいくつかのオープンソースとクローズドなデータベースから勝手に履歴書・職歴書を作ってしまうシステムはない。いつか取り組んでみても面白いなと考えている。
結局人工知能関係ないじゃん!

三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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