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エン・ジャパンから不思議なアンケート集計結果が届きました。

本日エン・ジャパンから摩訶不思議なレポートを受け取ったので、とりあえず公開してみます。
enjapan headhunting (こちらから全文確認できます)

タイトルは、求職者アンケート ~ 「ヘッドハンティング」について(2013年版)です。
そもそも転職サイトを運営しているエン・ジャパンが何故ヘッドハンティングのアンケートを取っていらっしゃるのかは分かりませんが、11月01日(金)~11月28日(木)の間にエン・ジャパンの登録者の2788名から回答があったそうです。

Q. これまでにヘッドハンティングを受けたことはありますか?
A. ある49%、ない51%

Q. 「ある」とお答えの方にお伺いします。どのような職種でヘッドハンティングを受けましたか
A. 営業・マーケティング系27%、経営・経営企画・事業企画系13%、事務・管理系12%

Q. ヘッドハンティングで転職した方にお伺いします。  転職を決めた理由は何だったでしょうか?
A. 経験・能力が活かせる仕事内容であったため65%、希望に近い仕事内容だったため45%、年収が上がるため44%

ここから先は「お前勝手言ってるんじゃない!!」と怒られそうな気もしますが、率直に感じたのは、次の3点です。
* 私は決してエン・ジャパンを目の敵にしている輩ではありません。

1.さすが天下のエン・ジャパン!!! ご登録者の50%はヘッドハンティングを受けている素晴らしく優秀な方々なのですね。
2.さすが天下のエン・ジャパン!!! ヘッドハンティングを受けるような多忙な経営層の方々、しかも2788名という多くの方に、わずか1ヵ月でサクッとアンケートにお答え頂くなんて、なんて素敵なエグゼクティブリレイションをお持ちなんですね。
3.さすが天下のエン・ジャパン!!! そんな素敵なネットワークとキャンディデイトをお持ちであれば、さぞかしエンワールドは盤石、ウハウハな状況なのですな。

まさかまさかエン・ジャパンの定義するヘッドハンティングというのは「求人サイトの登録者が人材紹介会社からスカウトメール受け取った」ということではないですよね?
アンケートのご担当者を小一時間問い詰めたい衝動にかられた訳ですが、その内「すいません、タイトル変えます」的な連絡がありそうです。 繰り返しになりますが私に悪意はありません、好奇心が強いだけです。

今日は「ヘッドハンティングって何か?」考えてみたいと思います。

人材業界では昔からヘッドハンティング、スカウト、サーチ、リテイナー、コンチなど様々な特殊ワードで自社をブランディングすることが行われてきました。私もスカウトメールの進化をユーザーとしてウォッチすべく、マーケティング上いくつかの転職サイトに登録しているのですが、各社のスカウトメールの打診文には本当にいつも楽しませて頂いております。

私なりに「ヘッドハンティング、エグゼクティブサーチ、スカウト、サーチ、リテイナー、コンチ」を解釈すると以下のような形です。
ヘッドハンティング:経営者、経営幹部、またはそれに準ずる事業長などの優秀な人材を外部からスカウトし採用する行為
エグゼクティブサーチ:ヘッドハンティングに近い意味合い、経営幹部の採用に際して現職で活躍している人材を社外から探し出す行為
スカウト:特に経営層である必要はなく、ビジネスで実績のある人材(多くは求職活動はしていない)にアプローチして採用する行為
サーチ:求人企業のニーズに基づいてヘッドハンティング会社が対象者をリストアップすること、または登録型人材紹介会社が求人データベースでマッチングする行為
リテイナー:着手金型のフィー体系、スカウト型の人材紹介会社に多い、契約期間内に人材採用をコミットメントする。
コンチ:成功報酬型のフィー体系、通常は登録型人材紹介会社はこちら。相場は25-35%、医療系はもっと安い。採用はコミットメントしない。

私が2006年に人材業界に入社した時は、この言葉の本来の意味と実際の使われ方に混乱することがありました。
当時在籍していた会社は、①リテイナー型とコンチ型の双方の契約形態があり割合は7:3位でリテイナー中心、②対象となる職級は経営層、部課長、一般社員など何でもありで執行役員以上は20%くらい、③人材のサーチ方法は転職サイトも使っていたし、指名スカウトなど純然たるヘッドハンティング、スカウトも混在して、だいたい決定者のリソースは転職サイト60%くらいでした。

新卒社員はそもそも人材紹介をイチから勉強しなくてはいけませんので、最初はヘッドハンティング、スカウトの際のリストアップだけではなく、求人サイトのマッチングも行うわけです。当然上述エン・ジャパンやイーキャリアFA、日経HRなんかを目を皿のようにしてレジュメを読み込んでスカウトメールを打診するという行為をしていました。

私が困惑したのはそのスカウトメールの文面です。当時の上司から打診するように頂いた文面は「拝啓 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。私は、ヘッドハンティングを専門に行なっております、*****の三上と申します。」から始まるわけです。
まぁ、多くのリテイナー案件の場合でも純然たるスカウトと転職サイトの両面使いで人材サーチを行うので、純然たるスカウトのスカウトレターの文面そのまま転送されてきただけなのですが、「あのー、転職サイトって仕事探している人が登録しているのだから、こんな仰々しい必要ないんじゃないですか?」と聞き返すと、「はじめまして、私は*****の三上と申します。弊社はヘッドハンティングやエクゼクティブサーチを中心に行っている人材紹介会社です。」という文面となり、これを長いこと使っていました。

また、お客様にご提案に行くと、3回に1回くらいは「オタクは本当にヘッドハンティングやっている会社ですか? 転職サイトも使っているようだけれどノウハウあるのですか?」と質問を受けておりました。確かにリテイナー、コンチ併用型だとお客様には分かりにくいかもしれません。

その後5年ほど私はこの会社に在籍したのですが、その間に分かったことは「リテイナーとコンチは料金プランが違うだけ」、「純然たるスカウトであっても求人サイトの登録者であっても優秀な人材が採用でき活躍されると契約は完了し、顧客は満足する」、「スカウトやるのであればリテイナー以外はコストも時間もかかるので不可能」ということです。

繰り返しになりますが、エン・ジャパンのアンケート回答者の皆様はヘッドハンティングを受ける経営層ばかりということで、是非とも当社にエントリー頂きたく思う訳です。

そして大変有意義なレポートを頂いた、エン・ジャパンの事務局の方には素晴らしい年の瀬をお過ごし頂きたく願っております。


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三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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